2022年9月26日(月)

世界の記述

2022年8月10日

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井上雄介 (いのうえ・ゆうすけ)

ジャーナリスト

早稲田大学法学部卒業。1989年、天津南開大学に留学。通信社記者を務めた後、経済メディア編集者としてシンガポール、上海、台北、広州で勤務。衆議院議員政策秘書などを経て現在に至る。

 ナンシー・ペロシ米下院議長が、台湾訪問を終えた後、中国軍の軍事行動が休みなく続いている。議長が去った翌日の8月4日午後、中国軍は台湾本島周辺の6海域に、周辺海域に11発のミサイルを打ち込んだ。日本の防衛省の4日の発表によると、浙江省と福建省の沿岸から発射された5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下し、そのうち4発が台北の上空を通過した。

中国による軍事行動が止まることがない(ロイター/アフロ)

 台湾国防省の発表によると、8月4日から7日夜までに、中国軍戦闘機や爆撃機、対潜哨戒機など計20~49機が、台湾海峡の中間線とその延長線を越え、台湾側に相次いで飛来。台湾軍機がスクランブル(緊急発進)で対応している。

 中国軍の艦艇も4日~8日、台湾周辺海域に進出。毎日、台湾の沿岸から24カイリ付近に13隻の各種艦艇を貼り付けている。ただし、中国軍機、艦艇ともに領空と領海は侵犯していない。

 また、台湾陸軍金門防衛指揮部によると、台湾金門県の烈嶼と北碇地区の進入禁止区域に4日、無人機延べ4機が飛来。両地区の守備部隊が、定められた手順に従い、警告のため信号弾を発射した。その後も連日、無人機の飛行が繰り返されている。

中国の軍事行動は常態化へ

 台湾周辺はもはや戦争の一歩手前で、「第4次台湾海峡危機」との見方も出ている。米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が早くも4日、ペロシ氏訪台で第4次危機が起きたとみて、オンラインセミナーを開き、専門家による検討を行った。

 ちなみに、第1次と第2次は台湾に逃げ込んだ中国国民党軍を、発足後間もない中国共産党政権が追撃を試みたことで1954~58年に発生。第3次は95~96年の事件で、台湾初の総統直接選挙に干渉しようと、中国が台湾付近にミサイルを撃ち込んだ。いずれも中台が全面衝突する恐れを米国の介入で辛くも収束した。

 CSISのセミナーで、専門家の多くは、中国の軍事行動が長期化するとの見通しを示し、大西洋評議会のジョン・カルバー上級研究員は4日、中国は今後「軍事行動を、常態化させるだろう」と指摘。台湾封鎖を目的に、海空軍の演習や無人機の飛行を「定期的というより、常に行うだろう」と語った。別のシンクタンクのジャーマン・マーシャル財団アジアプログラム部長のボニー・S・グレイザー氏も、中国の動きは、台湾封鎖の予行演習との見方を示した。

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