2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2022年8月15日

 あくまで想像の範囲ですが、Kさんの兄弟が今でも仲がいいのはこの母親の接し方があったからではないでしょうか。兄=良い子、弟=ダメな子と親が決めつけてしまったら、大人になるまでのどこかできょうだいの関係がこじれていたと思うのです。

 きょうだいの子育ての大切なポイントは、きょうだいを比べずに一人ひとりの自己肯定感を育むこと、それぞれの個性に合った能力を伸ばすことです。そして、もう一つ大切なこと。

 「大人になってからも、きょうだい仲良くいられること」

子どもを比べなくて良い3つのコツ

 同じ家庭で育ち、親以上に支えとなることもあるきょうだいですが、永遠のライバルでもあり、一つ間違うと愛情や財産の分配をめぐって争いが生じることも日常茶飯事。実は、きょうだいがずっと仲良くいられるかどうかは、親の言動にかかっているのです。

 精神科医の岡田尊司さんがきょうだい間にある無意識のわだかまりを解説した本『きょうだいコンプレックス』(幻冬舎新書)にも、「きょうだいの仲をこじらせる原因は親にある」とズバリ書いてあります。

 とはいえ、実際には同じ家に住んでいるときょうだいの能力や性格をついつい比べてしまうことはあります。そこで、筆者の著書である『子育て本ベストセラー100冊の「これスゴイ」を1冊にまとめた本』(ワニブックス)の中でも紹介した、子どもを比べなくてすむ3つのコツ紹介します。

・「みんないい性格」とまずは親が思う 

 きょうだいの性格を説明するとき、どちらかをネガティブに言ってしまう時ないでしょうか?「お兄ちゃんはしっかりしているど、弟はだらしなくて」「妹は明るいのにお姉ちゃんはひがみっぽい」など。

 『スタンフォード大に三人の息子を合格させた50の教育法』(朝日新聞出版)の著者、アグネスチャンさんは、子どもがもともと持っている性格を否定せずに、まずは良さを認めてあげることが大事、そのためには「子どもの性格にダメな性格なんてない。すべての性格はいい性格とまずは親が思うこと」と言っています。

 もし、子ども自身が気を付けた方がいいな、というものがあれば、いいところを言ってあげてから直したいところを言うのが良いそう。たとえば、やるべきことをすぐ忘れる子には「〇〇ちゃんのおかげで家の中が明るくなって嬉しいよ。でも◯◯やるのを忘れていない?」とか。

 子どもが自分の持っている性格を変えよう、と思う必要はなく、「自分はこういう性格だから、ここに気をつければいいんだな」と対処できる力をつけることが大事、とアグネスさん言っています。

・「一人っ子作戦」で愛情を伝える

 きょうだい一人ひとりに個別に時間を取って親からの愛情を伝える「一人っ子作戦」。このネーミングで紹介しているのは、『子どもを伸ばす「生まれ順」子育て法』(朝日新書)のほか、多くの著書を持つ花まる学習会の高濱正伸さん。

 夏休み中なら、この日は兄、この日は弟と出かける、などと予定を立てて、その日は母親(父親)を独り占めできる時間を作るのもよし。毎日のことなら1人ずつ膝の上に座らせて、5分たったらほかのきょうだいと交代する、でもよし。たったこれだけのことでも、子どもは親からの愛情を確認し、心が安定すると言います。

 小学校高学年や中学生などになったら、塾や習い事の送迎を利用して1対1の話をしたり、時にはちょっとカフェに寄ってお茶をしながらゆっくり話をしてみるのもいいかもしれません。このように、きょうだいがいても子ども一人ひとりと過ごす時間を作ることは、他の教育者もすすめています。


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