2024年12月12日(木)

Wedge REPORT

2022年8月15日

「人と比べてばかりいると幸せになれない」

 よく聞くフレーズですが、現実には人と比べないで生きることは非常に難しいもの。特に仕事上では比べること、比べられることだらけ。上司になれば、組織やチームを成長させるために、メンバー間で競争させてみることもあるでしょう。競争によって組織が強くなったり、向上したりするのは確かです。

 しかし、その価値観を子育てにも持ち込み、子供の成績やスポーツの成果を他人の子と比べて「もっと頑張れ」「あの子に負けるな」と叱咤激励することを良し、としていないでしょうか?

(YiorgosGR/gettyimages)

 中でも、親が知らず知らずのうちに比べてしまっていることがあり、意外にもそれが子どもの将来に深く影響しているとしたら……。

 その代表的な例が「きょうだいを比べること」です。

きょうだいの子育ては意外に難しい

 きょうだいの子育てに悩んでいる人は多いようです。

・毎日のようにけんかをしていて、もううんざり。
・きょうだいで学力の差がありすぎて、つい比べてしまう。
・小さい子に手がかかっていて上の子がすぐひがむ。

 など悩みはさまざまです。

 筆者はきょうだいの話になると、知り合いのKさんの話を思い出してしまいます。

 Kさんは東大卒のエリートサラリーマン。それを偉ぶることもなく、素敵な人柄の方です。40代の今でもよく会っているという仲のいい弟がいることは知っていたので、こちらの勝手な思い込みで、きっと弟さんもエリート街道まっしぐらの人なのかな、と思っていました。

 しかし、何かの機会で弟の話になった時、弟は高校生の時にゲーム漬けになって高校を中退したこと、フリーター生活が長かったこと、その後一念発起して大検を受けて大学に行き、現在の会社に就職したことなどを教えてくれました。

 弟とは実際に会ったことがないので、詳しい経緯はわからないものの、Kさんの話の中でとくに印象に残っていたことは、母親の話です。

 弟が高校を中退した時も、フリーターで家でぶらぶらしている時も、弟に対して責めるようなことや、「お兄ちゃんを見習いなさい」などと言ったことはなかったそう。Kさん自身も「弟に勉強を教えてあげなさい」など言われたこともなかったといいます。

 母親は、兄は兄、弟は弟としてそれぞれの個性を認めていたのです。


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