2024年11月22日(金)

オトナの教養 週末の一冊

2013年4月25日

――いまお話いただいた政策や政党のあり方から見て、現在の安倍政権をどうご覧になっていますか?

飯尾氏:政権運営という点では非常に高く評価しています。ただ、有権者との対話という点ではまだこれからですね。

 アベノミクスの3本の矢で言えば、3本目の成長戦略が一番重要ではないか。成長戦略は個別政策改革の集合体です。たとえば本来、規制には目的がある。その目的を無視することなく、どのように規制を緩和していくのか。どのような規制緩和ならば生産性が上がるのか。これまでも成長戦略について議論されてきたにもかかわらず、なかなか実現してきませんでした。成長戦略のために、いわゆる抵抗勢力と言われる人たちも納得するぐらいの政策論議を展開して欲しい。

 もちろん本気で規制緩和をすれば反対も副作用もある。しかし、そうすることで政党間の競争も生まれる。そうしなければ停滞から脱することができない。安倍政権には少なくとも3~4年は政権を維持して、本格的な政策論議が始まり、本書が必要になるまで政権運営をして欲しいと願っています。

――本書をどんな人に読んで欲しいですか?

飯尾氏:安直な解答を求めて本書を手に取るとガッカリすると思います。逆に本書を材料に自分の頭で考えようという人に、こういった考え方の順序があるんだと思っていただけると嬉しいですね。

飯尾 潤(いいお・じゅん)
1962年生まれ。東京大学法学部卒。同大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。埼玉大学助教授等を経て、現在、政策研究大学院大学教授。著書に『日本の統治構造』(中公新書)など多数。

[特集] どうすれば良くなる?日本の政治


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