日本の海上交通も封鎖される恐れ
日本近海へ機雷缶が浮遊した事態は、珍しくない。1949年3月には、北朝鮮が米軍の上陸を阻止するために敷設した機雷が、新潟県の海岸に流れ着き、爆発。機雷缶を沖に押し出そうとしていた巡査1人と見物していた小中学生62人が爆死、家屋30戸が全半焼している。
こうした沿岸部での事故とともに警戒しなければならないのが、浮遊機雷缶による海上交通の封鎖である。台湾有事の際には、大量の機雷缶が浮遊し、日本近海に流れ着く可能性が高く、日本が台湾有事に直接関与することがないとしても、中国が敷設した係維機雷により、日本のシーレーン(海上交通)が封鎖されるおそれがある。朝鮮戦争のケースでは、52年2月に新潟港が封鎖されたり、津軽海峡では青函連絡船が運行停止に追い込まれている。
習近平国家首席は、ロシアによるウクライナ侵攻を教訓として学んでいるはずだ。ウクライナはいま、米国をはじめとする西側諸国からの武器支援で、戦況は膠着状態にある。台湾侵攻も同様に長期戦になることを覚悟しなければならないと考えていてもおかしくはない。
米国が中国の台湾侵攻への対抗措置として海上封鎖を行うことを決断し、中国もまた、機雷戦による台湾の海上封鎖という軍事オプションを選択した場合は、長期戦になることは避けられないであろう。
台湾有事が、ミサイルが飛び交うような事態にならずとも、浮遊機雷によるシーレーンの封鎖問題や米軍からの掃海要請などが日本に求められることは、容易に想像できる。日本は、必ず巻き込まれることを覚悟して、平時から備えなければならない。
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中台軍事衝突という最悪の事態を招かぬこと、そして「万が一」に備えておくことが重要だ。政治は何を覚悟し、決断せねばならないのか、われわれ国民や日本企業が持たなければならない視点とは何か——。まずは驚くほどに無防備な日本の現実から目を背けることなく、眼前に迫る「台湾有事」への備えを、今すぐに始めなければならない。
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