第三に、歴史上国際秩序は戦争を通じて変革してきた。しかし今回は戦争ではなく、平和的に行わねばならない。安保理改革はそのような歴史的意味をも持つ。
第四に、上記社説は、紛争が永久に解決されれば安保理改革は容易になり、その必要性も減じるだろうと言うが、これはトートロジーだ。そもそも紛争は国際社会から永遠になくならない。
米国内でも揺れ動く常任理事国の議席拡大
かつてブトロス・ガリ(事務総長)やコフィ・アナン(同)は強力に日本の常任理事国化を支持してくれた。それ以来30年になるが、この問題は未解決のままだ。
米国とて、多くの国の意見集約が必要なこの問題を短絡的に動かせるとも思っていないだろう。今、加盟国の反応を慎重に見ているのではないか。
バイデンの演説は、加盟国に潰されないように注意深く書かれている。米国は当初より有効性の維持の観点からこの問題には慎重な立場を取ってきた。90年代初めに、国務省で国際機関担当次官補だったボルトンが日本の常任理事国化反対の寄稿記事を書いたこともある。
今回、バイデンが明確に、常任と非常任の議席双方の拡大に言及したことには大きな意味がある。米国も、若干の効率性低下になっても拡大する方が有益と判断しているのであろう。何とかして今回は成功させることが望まれる