2022年12月8日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年10月27日

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 9月21日、バイデンは 国連で演説、安保理改革に言及した。バイデンは、「今の世界の要求に対応するため、安保理がより包括的になる時が来た」「安保理のメンバーは、国連憲章を守るとともに、安保理が信用され、効果的であるために、異常事態を除いて、拒否権の使用は控えるべきだ」「米国は、常任理事国と非常任理事国の双方を増やすことを支持している。それには米国が長い間支持してきた国々の常任理事国席とアフリカ、ラテンアメリカ、それぞれの常任理事国席が含まれている」と安保理改革に前向きな立場を示した。

Derek Brumby / iStock / Getty Images Plus

 バイデンの演説は評価される。22日松野博一官房長官は「歓迎」と述べた。岸田文雄首相も一般演説で「安全保障理事会の改革に向けて、文言ベースの交渉を開始する時です」と訴えた。日本は米を含め関係国と連携しつつ、粘り強くこの問題を前に動かして行くべきだ。

 しかし、10月2日付けのワシントン・ポスト紙社説‘U.N. reform is a self-defeating idea—-literally’は、このバイデンの国連演説に関し、安保理改革は自滅的な考えだと批判している。主要点は次の通り。

(1)バイデンの国連演説の安保理改革案は「自滅的」だ。

(2)バイデンの構想は中露が拒否権を行使するだろうから成功の望みがない。

(3)安保理改革にエネルギーを費やすのは無駄である、国連は先般のウクライナの穀物輸出の関係国合意のように加盟国の利害が一致し、国連が役割を果たすことが可能なことに焦点を当てるべきだ。

(4)(加盟国間の利害の衝突である)紛争が永久に解決された時にのみ、機構の改革はもっと容易になるだろう。しかしその時、改革の必要性は大きく減っているだろう。

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 この社説の主張には賛成できない。常任理事国(P5)の拒否権や国連特有のカルチャーのため、安保理改革が簡単でないことは間違いない。しかし、安保理改革は避けて通れず、国連が直面せねばならぬ問題である。

 安保理を常任、非常任双方とも若干拡大し、同時に総会の機能を強化すべきだ。これは放っておけば無くなるような問題ではない。

 上記の社説は問題の理解を欠いている。

 第一に、今の安保理は国連に貢献できる能力と意志をもつ日本などの国が常任理事国になっていない。安保理が改革を怠れば、他の国際機関と同様に、正当性と有効性を益々失うだろう。

 第二に、今の安保理は設立後80年の間に改革したのは、ただの一回しかない(65年に非常任理事国を増やした)。戦後の国際秩序は既に80年となり、歴史上最長の国際秩序となっている。国際通貨基金(IMF)や世界銀行のクオータや決定権は中国の発展に伴って変革されてきたが、それと同様のことが国連、安保理についても必要だ。

 国連は中国代表権問題で変遷した。またソ連が崩壊した1991年12月、安保理会合における名札が何時の間にか何事もなかったように「ソ連」から「ロシア連邦」に変わっていた。ソ連崩壊を機会に国連憲章の改正が必要となり、それがわが国などの安保理入りの機会になりうるのではないかとも期待されたが、残念ながらそうはならなかった。

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