うつ病蔓延時代への処方箋

2013年5月29日

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元の70%を目標に
薬に頼らず、背中を押す

 ―― やっと復職しても、再び休職してしまう人の再発率は60%といわれています。一般的な治療で復職した人と、先生の治療法で復職した人の違いはどこにあるのですか。

石蔵:通院状況という意味もあるアドヘアランスをみると、100人の患者が1カ月後には50人、3カ月後には30人に減り、そのうち24人が職場復帰した場合、アドヘアランスは30%になります。通院しなくなった70人はどうなったのか、改善したとは思いにくい。統計的には3カ月後も通院する30人に対し24人が治癒したので治癒率80%。アドヘアランスは30%だが、治癒率は80%というおかしな結果が出てくる。

 私の外来では、予約時に来院しないと電話で状況確認をするのでアドヘアランスは98%、復職率は90%あります。このような数値から治療に効果があるのかどうかを検証してみるのがいいでしょう。

 グラフを見てください。ほとんどの治療は元の水準に戻そうとしますが、私は70%程度を目標にしていきます。薬で一時的に良くなっても100%に戻るまで投薬を続け躁状態になって100%を超える。再び落ち、この大きな波の繰り返しをするだけ。それよりは70%程度のラインを小幅な波で過ごした方がよい。辛い時は薬を必要としますが、基本的は認知・行動療法として、会社では先頭を走らずに真ん中かそれ以下にするよう心掛けてもらいます。辛くても休まないよう背中を押し続けます。

 辛い時は電話をもらえれば、直ぐには無理ですがキチンと対応します。そこまでやるのですから初診料は高額になりますが、多くの患者さんは理解していただいています。

[特集] 「心の病」にどう向き合うべきか?


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