EV化に突き進む欧米だが
COP26 で英国政府が提案した「排出ゼロの乗用車、バンへの転換を促進するCOP26宣言」に、世界の自動車生産上位5カ国(図-1)で署名したのはインド政府だけだった。6位の韓国も署名しなかった(「EV化に邁進するドイツ 日本が見習ってはいけないワケ」)。
COP27での英国政府の発表では、その後スペイン、フランス政府が宣言に署名したとされるが、相変わらず自動車生産上位国は署名しないままだ。日独の自動車メーカーでは、メルセデス・ベンツがCOP26時点で署名しただけで、あとは続かない。すべての国とメーカーがEVを推しているわけでもないようだ。
ドイツ政府、メーカーが慎重な姿勢を示している中で、EUは35年からのICE車の販売禁止を決めたが、すべてのICE車の販売が禁止されるわけではないとの主張もある。販売禁止を定めた条文の法的拘束力のない前文では、例外規定が設けられているからだ。
その「例外」の解釈は分かれている。植物由来のバイオ燃料の使用は許されるので、ICE車も利用可能との解釈と、救急車など緊急車両だけ例外にされているとの解釈がある。いずれにせよ35年以降もICE技術がEUにおいて必要な可能性がある。
また、EVの製造から廃棄までの過程(ライフサイクル)で排出されるCO2の量は多いのではとの指摘もあり、欧州委員会は25年までにライフサイクルのCO2排出量に関する規定を設ける予定だ。
EUに先立ちEV化の先頭を走っている国はノルウェーだ。EV販売比率が急速に上昇し、販売台数に占める比率では、今世界一のEV大国になった。
ノルウェーが世界一のEV大国になった理由
世界で最も早くICE車の販売禁止に踏み切る国は、EV普及率世界一とされるノルウェーだ。昨年までのEV導入台数と販売に占める比率は図-2の通りだ。25年、3年後には乗用車のICE車が販売禁止となる。トラック、バスでのEV化目標が30年に30%、40年にはトラック、バスのICE車が販売禁止となる。