2022年11月29日(火)

Wedge OPINION

2022年11月19日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

 英国の歴代政権で多くの要職に就き、知日派でもあるデビッド・ハウエル氏がウェッジオンラインのインタビューに応じた。

 ウクライナ情勢で懸念される欧州のエネルギー問題について、今冬は乗り切れるものの、早急にロシアに代わる供給元を確保すべきとの見解を示した。ウクライナの戦局に関して、ある時点で和平協議が検討されるとの見通しを示した。

 ハウエル氏は英サッチャー内閣で運輸相、エネルギー相をつとめた。今回、名古屋で開かれた国際高速鉄道協会(IHRA)のフォーラム出席などのため来日した。

(privetik/gettyimages)

樫山(以下、――)ロシアのウクライナ侵略で、エネルギー供給がひっ迫している。環境対策も含めて、将来をどう見通しているか。  

デビッド・ハウエル サッチャー政権始め、これまでに数々の政権で大臣を務めた。財務省の元エコノミストで、英日関係を築くうえで中心的な役割を果たし、2001年に瑞宝章を受章。著書に『Look Where We ʼ re Going』『The Japan Affair』『地球の呼吸はいつ止まるのか?』(共著・ウェッジ)など。

ハウエル 喫緊の課題は今年の冬、欧州でのエネルギー不足をどうするかだが、それを回避するために、さらに(資金の)借り入れが必要になるだろう。今年の冬は何とか大丈夫かもしれないが、ロシアに代る石油、ガスの供給元を探さなければならない。OPEC(石油輸出国機構)に「もっと協力してほしい」「ロシアを喜ばす減産を辞めてほしい」と伝え、米国には、シェールガスを、カタール、アルジェリアには天然ガスの増産を要請すべきだ。来年の夏には、そういうことが効果を上げ、石油、ガスの供給が増えて、価格が思ったよりも早く下がっていくのではないか。

 今回の危機を契機に、エネルギー転換が加速するのか、遅れるのか。パリ協定でのネットゼロ(排出量ゼロ)は実現困難になってきている。石油、天然ガスの生産量が増えて価格引き下げられるという悪い方に行くのではないか。

 しかし、中長期的にみると、石油、ガスを、さらに二酸化炭素(CO2)排出の少ないものに代えていかなければならないし、そういう試みは続いていくと思う。EU(欧州連合)のESG投資も続いていくだろう。石油、天然ガスの需要も今後5年のうちには落ちていくのではないか。

――電気自動車(EV)の将来について、どう考えるか。

ハウエル 難しいのではないか。まず、価格が非常に高い。軽量で手ごろなバッテリーが未開発だし、処分の方法もわかっていない。すべてが電気自動車になってしまったら、電力をどうするのか。あらたな原発を建設するのか。バッテリーに不可欠なリチウムなどレアメタルを生産するのは中国、ロシアなど、必ずしも友好的とはいえない国だ。

 フルEVよりもトヨタのハイブリッドなどのほうが、みんな関心を持ったのではないか。夜間風力、太陽光発電を活用し、グリーン水素に進めていくことも長期的に考えれば、電気自動車より経済的だろう。

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