2024年5月6日(月)

Wedge OPINION

2022年11月19日

――プーチンが(核兵器の使用など)暴発する危険はないか。

ハウエル もちろん、ある。プーチンは「ウクライナは〝汚い爆弾〟を開発している」と言いながら、最近になって「核兵器など使うつもりはない」と言い出しているようだ。偽装なのかはわからないが、本当にそう考えているなら少し安心させられる。

日本に期待すること

――ウクライナ問題に対して日本はこれまで以上に思い切った制裁を課すなど、ウクライナ支援に貢献をしてきたが。

ハウエル 十分とはいえないが、憲法の制約があるのは理解している。日本は米英に優秀な技術を提供し、その技術による武器がウクライナに供与されているので、日本も好むと好まざるとに関わらず関与しているといえる。

 私は過去40年間、日本を外から見てきて、「普通の国」になってほしいと思ってきた。外交的なネットワークにおいては、「憲法問題に取り組まなくてはならない」と認識し始めているようだ。非常にうれしい。

――日本は石油、天然ガスの権益を守るためにサハリン1、サハリン2のプロジェクトにとどまる方針だが、各国の信頼を得られるか。日本は来年のG7サミット(主要7カ国首脳会議)議長国だ。

ハウエル 日本としてもロシアとさまざまな問題でやり取りしていかなければならない立場もあるので、そこは理解する。

 これは地域的な問題であり、国際問題ではない。欧州が、日本を助けるために戦争をすることはない。サハリン問題の打開は、(ウクライナで)ロシアが負けたとか、プーチンが退陣に追い込まれたなどの時に、先方と話し合うチャンスになるだろう。

――G20サミット(20カ国・地域首脳会議)について聞きたい。

ハウエル 中国、ロシアの存在によって、機能しなくなってしまった。志を同じくする国々による新しい枠組みが必要かもしれない。G7にしても、ともに何か活動していくこと、新たなあり方を模索することが必要になってくるだろう。

中国の見方、英国の行方

――中国については。

ハウエル ロンドンを訪問する中国の専門家らは、「米国が台湾への武器供与を強化したり、中国の台湾政策に抵抗を示すことがあれば、われわれは3時間で台湾を包囲する」などと言っている。船舶、民間航空機の航行阻止、通信の遮断などをもって、必ずしも(軍事)侵攻ではない形で、包囲し封鎖してしまうということだ。

 日本との尖閣諸島をめぐる対立は、懸念すべきだ。国際秩序を変更するからだ。中国は、南シナ海に人工島を造成し、南太平洋のソロモン諸島に海軍基地を建設しようとしている。自分たちの力を広げ、国際秩序をひっくり返そうとする試みは恐ろしい。


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