2024年5月6日(月)

Wedge OPINION

2022年11月19日

――日英関係について聞きたい。2017年に当時のメイ首相が来日した際の共同声明に「両国関係は次の段階に進んだ」という記述が盛り込まれた。かつての日英同盟を想定しているのか。

ハウエル 1902年の同盟は良好に機能したが、「2017年のアライアンス(同盟)」は、それとは異なる。武器輸出を促進、日英貿易の協定、日本からの投資、新幹線技術導入などが中心だ。軍事同盟ではないが、日本に対する攻撃があった場合、NATO(北大西洋条約機構)1カ国に対する攻撃があった時のように、自動的に団結するものと考えている。

世界は「ネットワーキングに進む」

――名古屋で開かれた国際高速鉄道協会(IHRA)フォーラムのオープニングセッションで、「未来はどこに向かうか」という質問に対して「ネットワーキングに進む」と言われた。もう少し説明してほしい。

ハウエル これまでは、米国が超大国であり、リーダーだった。いまは、大国も小国も同じように関わり合い、すべてのスピードが速く、分単位で進行していく。従来の貿易ブロックや安全保障上の取り決めなど条約ベースではなく、各国がそれぞれの関心事、国益と国際的な協力の組み合わせで、同じような考えを持っている国が集まる安全な場所、同盟ではないクラブのようなものをセットすべきだ。

――条約とか同盟の価値が低下するということか。

ハウエル 従来型の同盟は、多極分化している。米国はもうわれわれのボスではないし、中国も100%敵ではない。ビジネスの関係もある。NATOはウクライナ問題と取り組んでいるが、アジアやアフリカは興味がない。しかし、人類にとっては危険な状態であるので、あらたな国際的な秩序を再構築しなければならない。

 本来、国連がその役割を担うべきだったが、ロシア、中国(の拒否権)によって、ブロックされてきた。あたらしい枠組みはフレキシブルでなければならない。日本は、「普通の国」になって、その一部になるのは重要なことだ。

――「ネットワーキング」の時代で大事なこととは何か。

ハウエル 今までとは考え方や態度を変えなければならないということだ。世界は現在、困難な情勢に直面しており、常に対話が必要である。幸い、現代にはインターネットがあり、すべての国と毎日、ネットワークしてつながることが可能になった。今までとは、まったく時代が違ってきたということを、われわれはもっと認識するべきである。

 
 『Wedge』2022年6月号で「プーチンによる戦争に世界は決して屈しない」を特集しております。
 ロシアのウクライナ侵攻は長期戦の様相を呈し始め、ロシア軍による市民の虐殺も明らかになった。日本を含めた世界はロシアとの対峙を覚悟し、経済制裁をいっそう強めつつある。もはや「戦前」には戻れない。安全保障、エネルギー、経済……不可逆の変化と向き合わねばならない。これ以上、戦火を広げないために、世界は、そして日本は何をすべきなのか。
 特集はWedge Online Premiumにてご購入することができます。

   
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る