2022年12月9日(金)

World Energy Watch

2022年11月24日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

 ノルウェーがEV大国になった理由として、政府による税免除、高速、フェリー料金割引、バスレーンの利用可などが挙げられる。充電ポイントも多い。昨年末の時点で、日本の2万9000に対し、人口が日本の20分の1以下なのに1万9700もある。

 しかし、政策の支援よりも消費者をEVに引き付けた理由がある。化石燃料生産・輸出国にもかかわらず、ガソリン、ディーゼル価格が欧州内でも高いことだ。11月のガソリン価格は、1リットル当たり2.11ユーロ(約300円)。ドイツ1.92ユーロ、フランス1.69、イタリア1.71を上回っている。

 一方、水力発電が9割以上の電力供給を担っており、電気料金は昨年まで1キロワット時当たり6米セント(約8円)と極めて安かった。昨年、英国、ドイツと新送電線が結ばれ両国の電力価格の影響を受けるようになったことと、渇水により水力発電量が低下していることから、今の電気料金は他の西側欧州諸国並みになっているが、長期的には極めて電気料金が安い国だ。

 政府の導入支援策だけでなく、水力発電が作り出す競争力のある電気料金が、ノルウェーを世界一のEV大国に押し上げたと言える。他国がノルウェーのようなEV導入率になるには、相当に大きな支援制度がなければ難しいだろう。

EUと中国で売れているEVだが

 それでも、EVは売れ行きを伸ばしている。コロナ禍対策で多くの欧州諸国が導入していた支援制度が縮小され、さらに半導体不足の影響でEUでの販売の伸びは鈍化しているが、中国では販売が大きく伸びている(図-3)。

 今年前半のバッテリー稼働車(BEV)とPHEVを合わせた世界での販売台数は、430万台。前年同期比62%の伸びとなっている。PHEVのEVに占める比率は27%、対前年同期比37%増。BEVの伸び率は75%増。今年1年を通してのEVの販売は1000万台を超える見込みだ。

 乗用車全体の今年前半の世界販売台数は、前年同期比マイナス8.1%。PHEVの全販売台数に占めるシェアは3.1%。BEVのシェアは8.2%。EVの全販売台数に占めるシェアは11.3%になっている。

 これからもEVの販売台数は伸びるだろう。だが、欧州と中国が世界販売に占める比率は約半分だ(図-4)。他の地域、南米、東南アジア、アフリカでの販売がEV化するにはまだ時間がかかる。

 これから自動車の台数が増える途上国では、依然ICE車、HVが必要とされる。欧州、米国、中国のEV化に惑わされてはいけない。日本はICEとHVの技術を維持し、新興国、途上国に多くの選択肢を提供する必要がある。

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