2024年6月20日(木)

オトナの教養 週末の一冊

2022年12月3日

変わってきている企業における管理職の存在

 さらに社会が高齢化する一方で、企業の60歳を過ぎた管理職は少なく、部下を多数持つ常勤の役職者で居続けることは多くの日本の企業では不可能になっているという指摘もうなずける。実際にそうした年代の管理職は多くない。背景にあるのは、日本の企業の社内の年齢構成のバランスが崩れているからだと著者は指摘する。

 管理職とは、複数人の部下を管理するために就く仕事であるから、 当然に少数精鋭でなければならない。 しかし、 多くの企業で中高年が急速に増えていく中で、 現場で顧客の最前線に立って成果を生み出すプレイヤーが不足し、 管理だけを行う人材のニーズが低下している。 そのギャップが多くの企業で顕在化しているのである。

 著者はまた 以下のようにも指摘する。

 年齢構成のひずみの拡大に応じて、企業としても役職適齢期 を迎えている中堅層を十分に処遇しきれなくなっている。 これまで企業のために尽くしてくれた従業員に対して職位で報いることができないということになれば、 中堅層のモチベーション維持に困難が生じる。
 定年前の中高年のモチベーションの低下が問題視されて久しい。 しかしその一方で、近年では一社員として現場で利益を上げ続けられる社員であれば年齢にかかわらず確保したいというニーズも、 企業内において急速に高まっている。

 まさに企業のジレンマを示しているといえるが、こうした中で著者の指摘するように、職業人生の最後の瞬間まで高い役職を維持し続けるのは困難であり、生涯現役時代においてはキャリアのどこかの段階でポストオフ(役職から降りること)に直面することを誰しも大前提として考えなければならないのは確かである。 さらに「役職に就きながらただ漫然と現場で利益を生み出す社員を傍観していれば許されるような働き方は、もはや通用しなくなる」という著者の指摘は手厳しい。

定年後に始まる新たな働き方

 このほか定年を境にしてキャリア構造が変わり、それにあわせて就労観が変わるという指摘は的を射ている。定年が近づくと、働き方に対して頭の切り替えを迫られるからである。著者はこう指摘する 。

 なぜ人は 50代で仕事に対して意義を失い、 迷う経験をするのか。これはつまるところ、定年を前にして「高い収入や栄誉」を追い求め続けるキャリアから転換しなければいけないという事実に 、多くの人が直面しているからだと考えられる。他者との競争に打ち勝ち 、キャリアの高みを目指したいという考え方をどのようにして諦めることができるか。 それが、定年後に幸せな生活を送れるかどうかを大きく左右するのである 。

 厳しいように見えるが、民間の調査によると70歳の就業者の約6割が定年後の仕事に満足し、幸せな生活を送っているという。定年後の小さな仕事に意義があり それを積み重ねることで社会に役立ち、日本経済に貢献することにもなるという。


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