2024年7月21日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年1月5日

 とりあえずの評価は、今回の習近平の湾岸諸国訪問は経済面に焦点を合わせたものであり、安全保障の面で米国が湾岸でこれまで果たしていた役割を中国が代替するというようなものではないと言うものである。

戦力投射能力で米中で大きな格差

 第一に、サウジが最も警戒する脅威はイランであるが、中国はイランと25年有効の「戦略的パートナーシップ合意」を昨年結んでおり、また米国の制裁下のイラン石油を大量に輸入している。このことに鑑み、今回サウジと中国は包括的戦略合意を結んだが、この関係が本当の信頼関係になるとは思われない。

 第二に、中国の湾岸地域での軍事的プレゼンスは限られており、能力の面で米国の代替にはならない。中国がアラブ首長国連邦(UAE)に海軍基地を作ろうとしたのに対し、米国が介入し、その計画は沙汰やみになったと報じられている。これに対し、米軍は中東にはカタールやバーレーンに約4万人が駐留している。その上、米空母はこの地域にも必要に応じて出てくる。この地域での戦力投射(パワー・プロジェクション)能力では米中間に大きな格差がある。

 第三に、中国は弾道ミサイル製造や無人機製造でサウジに協力する合意ができたと言われている。内容がよくわからないが、これらの合意ができたとしてもその影響はそれほど大きくない。

 中国とサウジの関係の今後については、十分に注意すべきであるが、過度に警戒的になることは弊害も生むと考えている。

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