世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年6月17日

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 米中の海軍バランスを議論する際、海上兵力を比較しただけでは不十分である。中国の場合、その陸上装備も勘案して米国の兵力と比較する必要がある、と述べています。

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 以前は、海軍バランスは米国に圧倒的有利があるとされていましたが、中国が陸上発射の「対航空母艦弾道ミサイル」を開発していることをほのめかした時から、懐疑論が聞かれるようになりました。最近の米軍事予算削減の動きが加わって、さらに、議論が活発化しているようです。

 上記論文は、このままでは東シナ海、南シナ海、そして西太平洋すら守りきれなくなってしまうので、現在の対中優位を維持、拡大するよう努めようと主張しています。

 具体的には、国防予算が削減される中でも、沿海域戦闘艦は導入し、西太平洋での潜水艦配備を倍増するよう提案しています。敵に近い海域には高額な軍艦を近づけず、安価・小型の沿海域戦闘艦を大量に送って、一種のセンサーとして使用、陸上の情報を探って遠方の母艦に送り、遠方から長距離射程兵器を発射するようにするとの考えです。

 沿海域戦闘艦の有効性については詳らかではありません。ただ、現代戦においては、索敵能力、レーダー電波の解析結果を前方に展開した戦闘機、艦船等に常時転送し、標的を定めて戦闘機等にミサイル発射命令を下す後方司令からのネットワーク能力が決定的なものであり、そのらにおいて、米軍と自衛隊は中国軍を上回っているはずです。

 センサーとロボット兵器の発達により、世界の兵法は大きく変化しつつあります。尖閣上空の制空権確保にしても、昔のような戦闘機同士の空中戦はほぼあり得ないでしょう。戦闘機の数のみを比べても、あまり意味のない時代になりました。AWACSで探知した敵機に対し、戦闘機がはるか遠方からミサイルを発射して撃墜する時代になっているのです。

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