2024年11月22日(金)

勝負の分かれ目

2022年12月25日

ワールドシリーズに近いチーム

 千賀は移籍するMLB球団が「プレーオフに勝ち進み、ワールドシリーズで投げられる強いチーム」であることを自身の希望としていた。その上でメッツはまさに「理想郷」とも言える球団だったのかもしれない。千賀が「レジェンドであるシャーザーやバーランダーという2人の存在が僕にとって大きかった」と明かしたように、この二枚看板を筆頭とした最強投手陣がメッツには揃っている。

 メッツの2023年サラリー総額は断トツトップの3億8460万ドル(約510億6000万円)となっており、2位・ヤンキースの2億8890万ドル(約383億6000万円)より1億ドル近くも多く費やし突き放している。贅沢税(ラグジュアリー・タックス)の課税も厭わないという、その余りの金満ぶりに他球団オーナーから「さすがにやり過ぎだ」と不平不満が次々と飛び交っているものの、当人であるメッツのスティーブ・コーエンオーナーは全く気にする素振りもなくどこ吹く風だ。

 自身が「大のメッツファン」であることを最大の理由として2020年オフにメッツを買収したコーエンオーナーはヘッジファンドで総資産145億ドル(約2兆円)を築き上げ、2016年に「フォーブス」で全米30位の富豪にもランクインした超資産家である。いずれにせよ、他球団が思わず妬むほどの莫大な資金力を誇るコーエンオーナーの青天井路線が、今オフも含めた継続的な巨大補強によってタレント軍団を形成できる原動力となっているのは説明するまでもない。

 そんな豪華客船のようなメッツが2023年シーズン開幕では千賀とともに船出する。〝セレブメンバー〟たちの間でも埋もれることなく「ゴースト・フォーク」もとい「ゴースト・スプリット」を駆使しながらコウダイ・センガは下馬評違わぬ活躍によって、視線の厳しいNYファンを釘づけにすることができるか。

 世のビジネスパーソンもソフトバンク入団時の育成契約からメジャーリーガーにまで大出世した千賀の生き様をぜひ目に焼き付けて欲しい。

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