副将戦(フェザー級66キロ)ではRIZINフェザー級王者のクレベル・コイケ(ブラジル)とBellatorフェザー級王者のパトリシオ・ピットブル(ブラジル)が対峙したRIZIN対ベラトールのフェザーチャンピオン同士の対決。ピットブルに有効打を要所で決められ、マウントポジションから試合をコントロールされる場面も多かったが、逆にクレベルは下から反撃機会を伺う展開が終始続いた。結局フルラウンドを戦っても決着は着かず、判定の結果では0―3で完敗となった。
全階級関係なく、ベラトール所属選手の中から選出される「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で1位に輝いたパトリシオの前に屈し、完敗したクレベルはリングから引き上げる際に号泣した。
そしてメインの大将戦(ライト級71キロ)ではRIZINライト級王者のホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)が元Bellatorフェザー級王者のA・J・マッキー(米国)と激突。あえて自ら下になってトライアングル・チョーク(三角締め)などのグラウンドテクニックによる一本を狙おうと〝通常運転〟を貫いたもののマッキーに対応され、上から振り下ろすような強烈な打撃を再三に渡って浴び続けた。
終わってみればポイントゲームに引き込まれた末、0―3のフルマークで判定負け。RIZINが誇るクレベルとマッキーのボンサイ柔術コンビを以てしても米国との「差」は埋まらず、成す術がなかった。
RIZINのルールに適応したベラトール
全試合終了後、リングに上がったRIZINの榊原信行CEOはマイクを握ると「今日は完敗です」と悔しさを露にしながらも「まだまだメジャーリーガーは上。これから若きファイターと本当に精進して、アメリカのメジャーリーガーをぶっ倒したい」と続け、力強くリベンジを誓った。
RIZINにとって5戦全敗とはいえ一本負けは1試合もなく、確かに形の上では全て判定にまでもつれた〝接戦〟だった。〝バカサバイバー〟こと青木真也が一部メディアでベラトール側がポイントを奪おうと「競技に徹していた」ことを勝利の要因と指摘していたのも大いに説得力があり、うなずける。
主要な海外MMA団体の〝統一ルール〟とされている米国ニュージャージー州アスレチック・コントロール・ボード(NJSACB)制定のユニファイドルールが仮に今回の対抗戦で採用されていれば、3勝2敗でRIZINが勝ち越していたとの指摘もMMA関係者やファンの間からSNSやネット上を通じて数多く散見されたのも事実だ。ただ今回はRIZINルールが採用され、ヒジによる攻撃とサッカーボールキックもOKとなり、同ルールに則った採点基準で対抗戦が行われることは当然ながら両陣営によるルールミーティングであらかじめ決められていた。
そして何よりも一つ言い切れるのはいつも円形のケージを使用しているベラトール勢が普段とは異なる不慣れなリングで戦い、相手のルールも事前に把握した上で全勝したということだ。きっちりと敵地において「ポイントゲーム」で勝利をものにしたのだから、ベラトールの圧勝は揺るぎない。とにかくRIZINルールで金網の中でなくても、ベラトール勢は強かったということに尽きる。