あまりにも厳しい現実を突きつけられた。大晦日にさいたまスーパーアリーナにて行われた格闘技イベント「RIZIN.40」で「RIZIN対Bellator MMA(ベラトール)」の全面対抗戦が組まれ、RIZINは1勝もできず5戦全敗を喫した。
日本の格闘技イベントでフラッグシップ的存在の「RIZIN」、そして米国のMMA(総合格闘技)団体としてUFCに次ぐ規模と人気を誇る「ベラトール」。両軍の威信をかけた戦いは緊迫したムードの中、好勝負の連続となったものの、RIZIN側は5分3ラウンド形式の全5試合でいずれもポイントゲームに持ち込まれた末に辛酸を舐めさせられる格好となった。
接戦となった試合はあったが
先鋒戦(ライト級71キロ)では元DEEPライト級王者の武田光司(BRAVE=RIZIN)が元Eagle FCライト級王者のガジ・ラバダノフ(ロシア=ベラトール)に0―3で判定負け。1ラウンドで右ストレートを浴びて後方にダウンを喫しながらも何とか持ち直してフルラウンドを戦い抜いたが、及ばなかった。試合後にはラバダノフのセコンドとして初来日した元UFC王者のハビブ・ヌルマゴメドフ氏がリングに上がって悔し涙を流す武田の手を挙げ、健闘を称えるシーンも見られた。
次鋒戦(バンタム級61キロ)では元ONE世界バンタム級王者のキム・スーチョル(韓国=RIZIN)が元Bellator世界バンタム級王者のフアン・アーチュレッタ(米国=ベラトール)に1―2のスプリット判定で無念の黒星。それでも存在感は見せた。
強烈な打撃を浴び、カウンタータックルで何度もテイクダウンを奪われながら自らの異名となっている〝ゾンビ〟のごとく蘇生。逆にカーフキックや伸びのあるパンチを決めて相手をグラつかせ、さらにはチョークスリーパーで悶絶させるなど互いに一歩も引かない、スリリングな展開となった。現在ベラトールでバンタム級3位に君臨する強豪アーチュレッタを相手に敗れたとはいえ、スーチョルが大方の予想を覆してここまで接戦に持ち込めたのは今後を考える上でも明るい材料と言えそうだ。
中堅戦(フライ級57キロ)は扇久保博正(パラエストラ松戸=RIZIN)が、RIZINバンタム級王者でありながら契約下で主戦場のベラトール代表として名を連ねた堀口恭司(アメリカントップチーム)と対戦した注目の一戦。過去2戦全敗を喫している因縁の相手にリベンジを果たそうと積極果敢に臨んだが、オーソドックス構えで前に出していた左足を堀口の十八番技カーフキックを基軸とした強烈な蹴りによって再三にわたって狙い打ちされ、みるみるうちに腫れ上がっていき、序盤から防戦一方となった。
大流血に追い込まれ、終盤の3ラウンドにはパウンドから「ドスッ」と鳴り響くような上からの重いパンチを食らった。フィニッシュブローこそ許さなかったが、最後は0―3で大差の判定負け。痛々しい松葉づえ姿で試合後の会見に登場せざるを得なかった扇久保は〝3度目の正直〟を成し遂げることはできなかった。