輸出受注も日本以外は総崩れ
昨年11月には、輸出受注も激減した。台湾経済部の発表によると、11月は前年比23.4%減の501億4000万ドルと、09年3月以降で最大の下げ幅を記録した。
輸出受注は、台湾企業が海外から受注し、中国など海外や台湾で製造するもの。11月分だと49.7%が海外での製造分だったが、この割合は前月より5.2ポイント低下した。中国での生産が、「ゼロコロナ」のせいで減少したためだ。
11月の輸出受注を製品別に見ると、スマートフォンやネットワーク機器など情報通信機器が147億3000万ドルで、前月比で20.2%減、前年同月比で30.5%減。ノートパソコンやスマートフォン、グラフィックカードの受注が減った。
半導体など電子製品も172億ドルで、前月比8.8%減、前年同月比15.2%減。各国での情報端末の販売低迷と中国からの受注減が響いた。
輸出受注先別では、米国が前月比3%減、前年同月比16.7%減の167億3000万ドルで、主に情報通信機器が減少した。中国・香港が前月比4.1%減、前年同月比37.3%減の100億8000万ドルで、中でも液晶パネルなど光学機器が49.5%減と半減した。光学機器の輸出受注額の減少は、液晶パネルが供給過剰で大きく値下がりしたため。
なお、輸出受注は日本だけは増加しており、前月比0.1%増、前年同月比5%増の31億ドル。情報通信機器、電子部品とも増えた。
収入減、利上げ、物価高が消費直撃
輸出の減少が企業業績の悪化につながり、賃金の減少を招いて消費を萎縮させる……。台湾でそんな負の連鎖が起きつつある。
12月5日付工商時報の于国欽氏のコラムによると、台湾経済は輸出依存度が高く、輸出減少は内需の落ち込みに直結する。企業の生産活動が縮小して、残業代の減少や人員整理につながるためだ。
01年のネットバブル崩壊時は、輸出額が前年比16.7%減、民間投資は22.4%減、消費の伸び率は1.4%で45年ぶりの低さとなった。世界金融危機翌年の09年は輸出が20.4%減、民間投資15.4%減、消費は0.04%減だった。
台湾行政院も11月29日、23年は輸出が前年比0.22%減ると予想している。
台湾中央銀行による度重なる金利引き上げで、住宅ローン金利が上昇したことも、家計を圧迫しており、消費の低迷を加速しそうだ。
中央銀行は12月15日の定例理事会で、政策金利を現行の1.625%から0.125ポイント引き上げ、1.75%に引き上げた。中銀の利上げは今年3月以降、4四半期連続となる。