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田部康喜のTV読本

2023年1月20日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 ナレーションの悠依の言葉の数々が、胸にしみる。

 「恋愛は錯覚だという人がいる。そんな経験もしてきた。この人だと思っていたのは、絶対に私だけじゃない」

 直木の料理の味から、悠依は、霊としての正木の存在を信じかけた。

 「プリン、しょっぱい。直木はみえないよ。でも、わかる。そばにいてくれる。つまり、あなたは死んだの?」

〝新たな時代〟のドラマの行方は

 第1回(1月13日)のラストシーンで、女性殺人事件があったマンションの入口に設置されていた、防犯カメラをチェックしていた刑事の魚住は、画面のなかに直木(佐藤)が携帯電話で住民を呼ぶようなしぐさをとりながら、マンションの通話装置に手をかけようとしていたのだった。

 直木(佐藤)に自分が死んでいる自覚はない。この映像は、魚住以外の捜査員にも見えるのだろうか。

 Netflix配信のドラマ「First Love 初恋」ばかりではない。大ヒット中のアニメ「すずめの戸締り」もまた、ロードムービーの形式を踏みながら、純愛の物語である。しかも、それは間もなく12年を迎える東日本大震災の記憶と絡む。

 純愛の映像作品は、「定番」とはいいがたい時代を私たちは生きている。大震災後は、新型コロナウイルス、ウクライナ戦争……。

 今回のドラマが、最近の映像作品と同様に哀しみから「希望の物語」になることを待ちたい。

  
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