2024年11月22日(金)

勝負の分かれ目

2023年1月23日

特有の環境にいかにアジャストするか

 NPB球に比べて滑りやすいMLB球、そしてメジャー特有の固いマウンドにもアジャストできるか。また、今季からMLBで本格導入される投球間の時間制限などが設けられる新ルール「ピッチ・クロック」も投球間隔の長い投手は影響を受ける可能性が高いだけに、藤浪が新天地で順応しなければいけない難題は多岐にわたる。

 とはいえ、前出の関係者も述べているように以前から熱望していたMLB移籍を実現させた藤浪が今まで以上にやる気に満ち溢れ、水を得た魚のように〝確変〟する確率は確かに高いようにも見受けられる。いきなり入団会見で現地メディアを仰天させるような英語力を発揮してみせた様子からも伺えるが、かつて多くの日本人メジャーリーガーが苦しめられた米国特有の文化やMLBのルールおよびハード面についての準備も入念かつ万全のはずだ。

 加えてアスレチックスを指揮するマーク・コッツェイ監督から藤浪は早くも「先発ローテに入ることを期待している」とエールを送られている。

 ちなみに、このコッチェイ監督は学生時代に二刀流(ツー・ウェイ・プレーヤー)として名を馳せた経歴の持ち主だ。それもあって同地区のエンゼルス所属でMLBに二刀流旋風を巻き起こしている大谷翔平投手に関して米メディアから度々質問を向けられており、昨シーズン中には「投打両方で成功の道を歩み続けている彼には誰もかなわない」と脱帽したこともあった。

「その大谷と同い年で高校時代からライバル関係にもある藤浪を獲得できたことで、コッチェイ監督は先日行われた入団会見に同席した際にも『われわれとエンゼルスは今シーズン、開幕戦を含めて多くの対戦機会がある』とした上で『だからこそフジ(藤浪)にとってもチームにとっても、いい流れになる』と言い切っていた。こうした思いはフォーストGMも実は同じで、同じア・リーグ西地区で何度も対戦することになる大谷の存在こそが藤浪の力をさらに開眼させるきっかけを導くと計算している」(前出の関係者)

 MLBの23年シーズンでは藤浪と大谷の新たなライバルストーリーにも、ぜひ注目したい。そして何よりも、アスレチックスの「フジ」が世界最高峰リーグのMLBで一体どこまで飛躍できるのか――。世のビジネスパーソンの方々もきっと、夢に向かってまい進する藤浪の新たな挑戦に釘付けとなるはずである。  

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