2024年4月29日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年1月30日

 しかしこの2人が最終的な外交的解決を全く排除しているとは思えない。交渉のためには、ウクライナの軍事的立場をもっと優位なものにすることが不可欠と考えているのであろう。

 こうした考え方は、プーチンと渡り合った過去の経験と、プーチンはウクライナの支配を自分の歴史的運命と考えているとの確信から来るのであろう。2人は、プーチンは決してウクライナを諦めないと分析している。

4州併合を認めよと迫るプーチン

 実際、ロシアの発表によれば、1月5日にプーチンはエルドアンとの電話会談で、「新しい領土の現実を受け入れるのであればロシアは真剣な対話にオープンだ」と述べ、ロシアが併合したウクライナの4つの州をロシア領と認めることが交渉の条件だとの立場を示したという。しかし侵略の結果を「現実」として認めよと言うのは全く不当だ。

 日本は今年、主要7カ国(G7)の議長国となり、国連安保理非常任理事国になった。ウクライナ戦争に対する反対とウクライナの支援につき西側の結束を維持するために良い役割を果たしていくことが期待される。

 ウクライナの戦場は冬に入り、目下東部ルハンシク州のバフムトとその近郊の町ソレダールで激しい戦闘が起きているようだ。戦況は重大な局面に入っているように見える。NATO側は、米国(ブラッドレー50両)やフランス(AMX-10RC装甲車)に続き、英国(チャレンジャー2戦車14両)が戦車など重装備のウクライナ供与を決定し、ドイツも戦車「レオパルト2」を供与する覚悟を決めた。

 1月14日、ロシアはウクライナ東部ドニプロの集合住宅をミサイル攻撃し、多数の死傷者が出た。市民への攻撃は正当化されず、ロシアの責任は重大だ。また翌15日、ベラルーシは、ロシアとの空軍合同演習を1月16日から2月1日まで実施すると発表した。警戒が必要である。

   
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