2024年6月15日(土)

Wedge REPORT

2023年2月25日

「生徒参加で決める校則」を国が法律で定める

 校則の定め方や運用の根拠になる、国の法律があるかどうか。その法律に則した校則の制定や運用に、生徒の参加が制度化されているか否か。

 日本とフランスの大きな違いはこの2点にあると、武庫川女子大学・学校教育センターの大津尚志准教授は指摘する。歴史的経緯や法制度に着目してフランスと日本の校則文化を比較し、研究している専門家だ。

 「フランスでは1969年、教員・保護者・生徒の代表が参加する『学校管理評議会』に、校則を制定する権限があると定められました。そして2011年の通達で、校則の目的や形式、内容の大枠も規定されています。そのため、全国の学校で校則の内容が大きく異なることはありません」

 通達では、フランスの公教育機関における校則の目的をこのように言語化している。 

 「学校敷地内の教育共同体の、全構成員に適用される集団生活の規則を定める。また校則は、生徒が享受する権利と自由が適用される、具体的な手続きを規定しなければならない。いかなる形であっても校則を、生徒のみの義務、および生徒への処罰・制裁に関する規定のみに矮小化してはならない」

 そして校則に含めるべき要素は、以下のようにリスト化されている。

【学校の運用と機能】
時間割、休み時間および授業と授業の間の時間、校舎の使用と立ち入りの条件、共有スペース、提供備品の使用、生徒の監督方法、生徒の移動、校外の施設への移動
【学習の組織化および監視】
学習の組織化、学習知識のテスト方法、評価と成績表、通信簿の使用、校内の情報資料センターへのアクセスおよび操作の条件、支援措置の編成方法
【校内の運用と監督】
遅刻と欠席の管理、寄宿生・給食利用生・給食非利用生の規定、給食と寄宿寮の規定、緊急時の対応と治療
【学校生活・生徒の監督】
携帯電話の使用(教育法典L.511-5を適用し、教育活動中および学校の内部規則で定められた場所での使用を禁止)、私物(MP3プレーヤー、スマートフォンなど)の使用
【安全管理】
顔を隠す服装・特定の授業にふさわしくない服装・個人の安全や衛生規則を脅かす可能性のある服装・施設の運営に支障をきたす可能性のある服装の禁止、武器や危険物の持ち込みや携帯の(性質の如何を問わず)厳重禁止、ドラッグの持ち込みと使用の厳重禁止、所定の飲食エリアでの従業員以外のアルコール消費の厳重禁止、校内での喫煙禁止

 上記の大枠に従い、前述の学校管理評議会が学校ごとに校則を制定する。学校管理評議会は年に3回招集され、校則の運用や改定を含め、学校生活全般について議論を行う場になっている。もし理不尽な校則があれば、ここで生徒たちが異議を申し立て、改定することができると、全国レベルで明確にルール化されているのだ。

 ルール化された学校運営の生徒参加方法に則って、フランスでは実際に、校内規則が変わった例がある。近年では南フランスの高校で、「生理用品の無償配布」が生徒からの発案で始まった。

 そして最近では、まさに通学時の服装に関する校内ルールが話題になった。ゴムサンダルや腹部が見えるほど丈の短いTシャツ(クロップ・トップ)が流行し、それを学校内で許容するか否かが問われたのだ。

 「ビーチやナイトクラブに行く服装は学校という共同体にそぐわない」と禁止を表明した学校もあったが、それに対し一部の生徒・保護者たちは「自由の侵害だ」と強い反発を示した。それもただ攻撃的にNOを発するのではない。学校という共同体とはなんなのか? そこであるべき服装の自由とは? と、各々の立場から白熱の議論が展開されている。

 このように学校という共同体運営に中学校から参加することは、フランス共和国を担う市民としての役割に繋がっていると、大津氏は見ている。

 「社会的な意義を持つ活動にコミットする「アンガジュマン(社会参加)」を、フランスの生徒たちは学校生活で学んでいるのです」


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