ウクライナとバイデンファミリー
次にコマー委員長が狙っている国籍は、ウクライナとみてよい。ウクライナ国籍の人物が、ハンター氏の自作絵画の購買者の中にいれば、「ウクライナは、軍事支援の増額と継続を狙って、ハンター氏の自作絵画を法外な値段で購入した。バイデンファミリーは、ハンター氏の自作絵画を通じて、ウクライナから利益を得ている」と、議論できる。
「米国民は税金を使ってウクライナ支援をしているが、バイデンファミリーは、ウクライナから見返りを得ている」と強調するのだ。バイデンファミリーがウクライナと「癒着」しているという印象を、米国民に与えるためである。
AP通信の世論調査(23年1月26~30日実施)によると、ウクライナへの武器供与について、48%が「賛成」、29%が「反対」と回答した。昨年5月の同調査では、60%が「賛成」、19%が「反対」であったので、「賛成」が12ポイント減少し、「反対」が10ポイント増加したことになる。
また、米政府からのウクライナへの財政支援に関して、37%が「賛成」、38%が「反対」と答え、「賛成」が「反対」をわずか1ポイントだが下回った。こちらも、昨年5月の同調査と比較すると、「賛成」が7ポイント減り、「反対」が5ポイント増えた。
米国社会では、ウクライナ支援に対して否定的な見方が増す中で、コマー委員長は、ウクライナとバイデンファミリーの癒着に訴え、支持を拡大するという政治的計算をしているのかもしれない。
全ては選挙のために
MAGA共和党は、24年米大統領選挙でホワイトハウスを奪還し、上院選で多数派を奪い、下院選で議席数を伸ばすことを目指している。その目標を達成するための1つの選挙戦略として、中国とウクライナおよびハンター氏の自作絵画を関連づけて、バイデンファミリーにダメージを与える――この戦略が有効であるとみている。