2024年12月23日(月)

2024年米大統領選挙への道

2023年2月24日

 今回のテーマは、「どのように中国、ウクライナ、次男ハンターの自作絵画は結び付くのか」である。画家に転身したジョー・バイデン米大統領の次男ハンター氏が、ドナルド・トランプ前大統領を支持するMAGA(マガ Make America Great Again 米国を再び偉大にする)系議員の標的になっている。彼らは、どのようにしてハンター氏の自作絵画と中国およびウクライナを関連づけようとしているのか。彼らの思惑はどこにあるのか――。

こちらはイメージ画像です(Karpiyon/gettyimages)

ハンターの自作絵画

 MAGA共和党は、ハンター氏の自作絵画を争点にする戦略に出た。その戦略を実行する中心人物が、下院監視・説明責任委員会のジェームズ・コマー委員長(共和党・南部ケンタッキー州)である。

 コマー委員長は昨年11月17日、ニューヨーク市ソーホーのギャラリーのオーナーで、ハンター氏と関係がある画商ジョルジュ・ベルジェ氏に書簡を送った。その中で、素人のハンター氏の自作絵画が、7万5000ドル(約1000万円)~50万ドル(約6700万円)の「法外な値段で売られている」と指摘した。その上で、同氏の美術展の参加者および購買者リストを米議会に提出するように、ベルジェ氏に要求した。

 また、コマー委員長は今年1月25日、ベルジェ氏に対して再度書簡を送り、ハンター氏の自作絵画の購買者の中に、外国人が含まれている可能性について触れ、美術展の参加者と購買者リストを開示するように繰り返し要請した。

コマーのストーリー

 なぜ、コマー委員長はハンター氏の美術展の参加者リストと、自作絵画の購買者リストにこだわるのか。どうして外国人の購買者を探しているのか。リストの中から、どの国籍の購買者を見つけ出したいのか。

 コマー委員長が探しているのは、まず中国籍の参加者と購買者だとみて間違いない。もし、中国人が購買者リストの中に入っていれば、中国がハンター氏の自作絵画を高値で購入して、バイデン政権の政策に影響を及ぼそうとしたと議論できる。

 トランプ前政権において、トランプファミリーと外国政府の関係が問題になったことがあった。トランプ一族が経営するトランプ・インターナショナルホテルワシントンD.C.に、外国政府の関係者が宿泊し、そこでパーティーを開催して、トランプ前大統領に気に入られ、政策に影響を与えようとしたからだ。

 仮に自作絵画の購買者リストの中に中国人がいれば、その中国人がハンター氏に接近して、バイデン大統領が東部デラウェア州の自宅に持ち出した機密文書にアクセスした疑いがあるというストーリーを作ることもできる。ハンター氏は、父親の自宅を事務所に使用していたからだ。

 コマー委員長は、「中国に機密文書が流れたのは、実はハンター氏の関与があったからだ」と、米国民に説明をしたいのだろう。


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