ウクライナ軍は昨年2月以降、2000機を超える無人機を撃墜した。その多くがイラン製だったと見られており、ウクライナ戦争1年を機に再び無人機の攻撃が激化している。ロシアは攻撃の主力の高精度巡航ミサイルが払底していると伝えられており、安価なイラン製ドローン(約270万円)に今後も依存すると分析されている。
ロシアはこうしたイランからの支援の見返りとして、戦闘機SU35や弾道ミサイルの技術支援、防空システム「S400」などの供与を検討していると伝えられている。こうした兵器がイランに供与されれば、中東地域の軍事バランスに大きな影響をもたらすだろう。
イスラエルの核施設攻撃の懸念も
中東ではロシアがシリアに軍事介入して力を見せつけたことにより、「頼りがいがある」として一時株が上がった。だが、ウクライナ戦争では思うような軍事的優位を見せられず、逆に米欧の支援を受けたウクライナ軍が健闘していることで、米欧への信頼感が増すという副産物が生まれている。ロシアは中東諸国の信頼を取り戻すためにも、イランへの兵器供与に踏み切るかもしれない。
ウクライナ戦争が長期化する陰で、イランの核の脅威を深刻に受け止めたイスラエルや米国が何らかの軍事行動に踏み切ることは十分あり得よう。バイデン大統領は「イランの核兵器入手を容認しない」と繰り返している。
ウクライナに世界の耳目が集中しているのを隠れ蓑に、イスラエルが米国の支援を受け、イランの核施設攻撃を敢行する、と想定するのは非現実的ではない。