今回ロシアに対して行ったような働きかけは今後多方面で継続され強化されて行くことだろう。もしかすると中国主導で国際社会の構造改革を進める運動は歴史的な新展開になるかもしれない。
但し、プーチン大統領のロシアが今回、中国との意見の一致を見せたとしても、将来ともロシアが中国と共に新国際関係の形成に協力して行くとは限らない。抑々、モスクワで政権交代が起きれば、事態は大きく変わる。民主勢力が政権を掌握したらロシアは全く違った国になる。ロシアが民主主義の方向に動き出すと習国家主席の目論見は崩壊することになる。
中国自身もこのままではないかもしれない
その上、別の問題もある。今のような共産党1党独裁の中国が今後10年、20年とあの国を支配するという想定は正しいのか?
中国の経済分析に長く関与している内外の学者・専門家の間には、さまざまな理由から中国は現在の国家社会主義経済をいずれは卒業し、資本主義経済に近似して行く可能性がある、という議論がかなり以前からある(関志雄「資本主義へ移行する中国経済の現状と課題」)。それに中国国内にも市場経済化を求める声がある。
仮に中国が「国家社会主義から次第に市場経済に移行する」のだとすると、今後は習国家主席が主張する「他国が作った世界秩序は変更し、破壊する」という方針はどうなるのかという問題になる。中国は今日、世界を変えようとして躍起だが、中国自身が変わることもあるのではないか。どうやら物事は余り固定的には考えない方が良さそうだ。