2024年11月25日(月)

Wedge OPINION

2023年4月6日

 今回の習国家主席の訪露で、どうやらこの中国の立場をロシアが支持したということのようだ。これが今回の首脳会議の一つの重要なポイントだったらしい。

 米国Politico誌の中国専門家であるStuart Lau記者のツイートによれば、習国家主席が帰国のためにクレムリンを車で出発する時、習氏はプーチン氏に「われわれ両国は100年この方見たことが無い地球大の大変動を起こそうとしている」と述べて同氏にエールを送った由だ。中国の視点からすると今回の習国家主席のロシア訪問は大成功だったといえるのだろう。

中国が実現しようとする「別の世界秩序」とは?

 23年3月17日付、「人民網日本語版」によれば、習国家主席は3月15日に行われた中国共産党・世界政党上層部対話で、世界に向けてグローバル発展とグローバル安全保障に続きグローバル文明でイニシアティブを発揮し、世界秩序を構成すると説明している(中国外交部「グローバル文明イニシアティブは新時代の中国が提供する国際公共財」)。

 中国が新しい時代の国際社会に発展と安全保障を提供し、進歩させた文明が重要な「国際公共財」という位置づけだ。中国は国際法の関係でも大胆な変更提案をしている。エール大学の専門家の分析では、①国際法の新展開、②国際関係分野での法の支配、③主要分野での国際準則、④国際司法上の協力、⑤国際紛争解決のメカニズム、等において、根本的な改変を提案するものであるらしい(“Xi Jinping Thought of the Rule of Law and Beijing’s goal to redefine international norms”Dr. Moritz Rudolf, Yale University)

 報道によれば、上記の3月15日の基調演説で、習国家主席は「中国共産党は質の高い発展の推進に尽力し、世界の発展と繁栄を促進する。国際公平・正義の維持に尽力し、世界の平和と安定を促進する。文明間の交流と相互参考の推進に尽力し、人類文明の進歩を促進する。各国の政党間の交流と協力の強化に尽力し、手を携えて共に天下の大道を歩む」と強調したようである。

 周知の通り、中国は中国なりの理論の下で「中国は民主主義国」だと自称している。そして中国の経済力や国際的影響力を背景にして世界を西側民主国が決める原則や規則によるのではなく、中国が差配する原則や規則で支配しようとしているのだ。


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