習近平国家主席は3月20日より3日間ロシアを訪問した。戦況がロシアに不利なので、中国は心配だったに違いない。これに対し米国は中国に、殺傷兵器をロシアに提供するなと警告している。
元々ロシアは国際法を破って独立国を侵略した無法者だ。中国が普通の法治国家であればロシアを非難すべきだ。しかしプーチン氏が負ければロシアは民主化する可能性がある。中国にとってそうなっては困るので、プーチン氏にしっかりネジを締めに行ったといいうのが本当のところだろう。
この中露首脳会談がどれ程成功したのかは今後の展開次第だが、中国は今回得点を稼いだことになっている。それは「世界を変えようとする中国の国家的運動」にロシアが乗ったからだ。少なくとも報道ではそうだ。
欧米中心でない世界を目指す習近平
中国が世界を変える? 一体どういうことか。2022年10月の第20回中国共産党大会では、中国は西側民主勢力に対抗して行く姿勢を鮮明にし、その関係でグローバルサウスに勢力圏を築くという方針を決めた。だが、その後の流れを見ると中国外交は更に一段とギアを上げて、「欧米中心に偏った国際関係の基本を改編する」という動きに変わって行ったようだ。
「より欧米中心でない世界」を目指す。習国家主席が選んだ道だ。
この意味について、中国問題の専門家に詳しい解説を聞く必要がある。筆者の知る限り、「国際関係の基本を改編」しようとする中国の動きを大規模に報じたのは昨年10月の英国のThe Economist誌(2022年10月15-21日号)である。
「中国が欲する世界」と題するこの特集号は「中国は今や他国、つまり欧米社会が作った世界秩序を変更し、破壊するつもりだ」と警告していた。同誌は中国の行動を詳しく分析し、今や中国は「より欧米中心でない世界」、「別の世界秩序」(Alternative World Order)というべきものを目指していると論じたのだ。