2024年12月23日(月)

WEDGE REPORT

2023年3月26日

 岸田文雄首相のウクライナ電撃訪問は、大きなイベントと時期が重なった。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本制覇の熱狂は無理もないが、もうひとつ、時を同じくした中国の習近平国家主席のロシア訪問は、むしろ日本に有利に作用したというべきだろう。

国際情勢にも大きな影響を与えた岸田首相のウクライナ訪問(Ukrainian Presidential Press Office/UPI/アフロ)

 侵略に対抗する「主要7カ国(G7)・ウクライナ連合」に対して、戦争犯罪容疑者とそれを支持する「北京・モスクワ枢軸」の異様さを鮮明にし、中国による台湾侵攻の現実味を広く理解させたからだ。

「岸田は自由の側、習近平は戦犯を支持」

 キーウとモスクワを舞台としたパワーゲームで、岸田首相はG7議長としてかろうじて面目を保ち、習主席は結果的に最も損な役回りを演じた。最大なポイントゲッター、勝者はウクライナのゼレンスキー大統領その人だろう。

 米紙「ワシントン・ポスト」は、ふたつの首脳会談が同時期に開かれたことは偶然としながらも、「ロシアとウクライナ、対立する場所での分断された首脳会談は、中国に対する象徴的で厳然とした対応の違いを示した」と分析。そのうえで、「習主席はモスクワに対する支援を鮮明にするために、戦争犯罪の逮捕状で孤立しているプーチン大統領を北京に招待した」と辛らつな批判の論調を展開した。

 米CNNテレビは「中国は、世界の敵として孤立を深めるプーチン氏を支持する唯一の声となった」、英紙「ガーディアン」も「岸田は自由の側に立ち、習近平は戦争犯罪容疑者を支援した」というエマニュエル駐日米大使のツイートを引用し、日中の立場の違いを際立たせた。


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