2024年12月10日(火)

WEDGE REPORT

2023年4月7日

 日韓関係の改善を試図した日韓首脳会談は支持率上昇に繋がらなかったのだ。こうなると尹大統領も韓日関係改善に向けた速度を調整せざるを得なくなる。

日韓関係の本当の変化は来年4月の総選挙後

 韓国は来年4月に総選挙を控えている。就任後2年が過ぎた時期での「中間評価」ともいえる選挙だ。もし30%台を記録している現在の支持率のまま選挙に臨むことになれば、その見通しは決して明るくない。来年の総選挙で与党が苦戦するなり、敗北することにでもなれば、朴槿恵政権末期のような大きな混乱が起きる「危険性」さえある。

 だが、選挙の結果がどうであれ、尹大統領が過去の何人かの大統領のように支持率を意識して日本に対する態度や方向を変えるとも思われない。過去の多くの大統領と尹大統領の違いは、彼が実利と現実を重視する人だという点だ。

 それでも、韓国国内の政治的状況を考えると、日韓関係に大きな変化や進展を期待することは難しくなるかもしれない。つまり、日本から見れば、今期待を持っているほどには今後の両国関係は動かないかもしれない、ということだ。

 だからといって日本がすべきこと、できることはない。日本に必要なのは過度の期待と性急さを捨てることだけだ。首相の謝罪や金銭的賠償などが何の効果もなかったということは、すでに数十年間の過去が証明している。

 おそらく真の変化は来年4月の韓国総選挙以後に現れるだろう。野党が国会議席の過半数を占めている現在、大統領にできることには限界がある。だが、もし来年与党が勝利すれば、その時こそ尹大統領の「本音」が分かるようになるだろう。

 野党の顔色を伺いながら徐行運転をしていた尹大統領がアクセルを踏むことになるのか、それともゆっくりでも動いていた車のブレーキを踏んで完全に止めることになるのか。冷静にこれからの1年を見守って欲しい。

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