自らの経験による気づきから事件解決へ
胃痛から内科医の母のもとに行ったときに自分のいじめの経験を話すと、「覚えてる?」と答えた。
瓜原の記憶はよみがえった。母が料理に使うニンジンを刻みながら「殺してやる、殺してやる」と叫んでいたことを。そして、料理の熱湯が入った鍋をひっくりかえして、いまもそのやけどの跡が残っていることを。「母は僕を安全なところに移したんだ」と。
女性教諭殺人事件について、いじめられた児童の母親に殺意が生じることを知って、再度捜査に取り組む。死体発見現場のブロンズ像の本を外して、容疑者は殺害したのだ。そして、自分の乗用車のトランクに死体を入れて、いつも通っているゴルフ練習場でアリバイ工作をした。
死体発見現場で、気になった被害者の額の中央の傷もその謎は解けた。被害者はトランクのなかでいったんは、蘇生してトランクに額をぶつけたのだ。
現場での容疑者の追い込みに、トランクの中のルミノール検査が決定的になった。
いまや「精神主義」の時代ではない。部下を指示するのが上司の使命ではない。それは第3次産業革命時代のなごりである。「知識社会」のいま、自分自身で考える人材の養成こそ求められている。上司は、部下の成長を助ける役割である。