「風間公親 ―教場0-」(フジテレビ毎週月曜よる9時)は、木村拓哉(以下・敬称略)主演のヒットドラマの連ドラ化である。連続傷害犯から千枚通しで右目に一撃を受けて、捜査一課の優秀な刑事だった風間公親が警察学校の指導教官になった。本シリーズは、捜査一課の指導官として捜査能力の高い刑事を養成する指導官役である。
警察学校の教官時代を描いたこれまでとは違い、風間公親の人物像とその能力を描いた本シリーズは、長岡弘樹の原作『教場0』(小学館、2017年)と『教場X』(同、21年)の2作を織り込んでいる。風間が襲われた連続傷害犯が犯行を繰り返した、その標的として風間も狙われているという緊迫した状況のなかでドラマは進展している。
キムタクの光る演技と若手育成術
キムタクの演技の充実ぶりはドラマの好調な滑り出しと無縁ではないだろう。故蜷川幸雄に抜擢されて初舞台に立ち、宮崎駿監督の「ハウルの動く城」で声優を務めた。山田洋二監督の「武士の一分」(2006年)の盲目の剣士役も心に残る。幾多の演出家・監督にその演技を称賛されたキムタクであった。
♯3毒のある骸(4月24日)に至って、風間が教育を受ける新人刑事・隼田聖子(新垣結衣)が配属される。ドラマは2回ごとに新人が入れ替わり、一人前の刑事となるらしい。♯1♯2は赤楚衛二。新垣の後には北村匠海、白石麻衣、染谷将太らが控えている
隼田聖子役の新垣の刑事としての成長ぶりは画面を通して、見守るとして、♯3の冒頭シーンが「教場」ファンに不安を募らせる。捜査一課の事務員・伊上幸葉(堀田真由)が通勤途中にすれ違った男から千枚通しを投げ込まれたのである。連続傷害犯の凶器であり、風間の右目の視力を奪った千枚通しである。