2023年12月1日(金)

都市vs地方 

2023年5月12日

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吉田浩 (よしだ・ひろし)

東北大学大学院 経済学研究科教授

高齢経済社会研究センター長。1995年一橋大学大学院博士課程満期退学、97年東北大学大学院経済学研究科助教授、2007年より現職。会計検査院第9代特別研究官、経済企画庁経済審議会特別委員も歴任した。著書に『男女共同参画による日本社会の経済・経営・地域活性化戦略』(河北新報出版センター)、『厚生労働統計で知る東日本大震災の実状』(統計研究会)など。

(y-studio/gettyimages)

 4月に実施された第20回統一地方選挙では、多くの選挙で投票率が前回を下回り、史上最低となった選挙区も続出した。県議会議員および政令指定都市議会議員選挙の投票率の結果は表1の通りである。

(出所)総務省「令和5年4月9日執行 統一地方選挙結果の概要(速報)」
(注)空欄は、統一地方選挙のタイミングでは実施されなかった団体。赤字は前回に比べて5%ポイント以上投票率が下落した団体 写真を拡大

 暮らしに身近な地方選挙で、投票率が下落傾向であることは喜ばしいことではない。もう一つ今回の選挙で注目を集めたのが無投票となった選挙区が多く見られたことである。

 表2は、今回、無投票となった割合を選挙区数および定員数の2つ視点からまとめたものである。

(出所)総務省「令和5年4月9日執行 統一地方選挙結果の概要(速報):無投票の状況について」
(注)空欄は、統一地方選挙のタイミングでは実施されなかった団体。赤字は、無投票で決まった割合が50%以上のケース 写真を拡大

 表2を見ると、県内または指定都市内の選挙区の50%以上が無投票で決定している地区が9県に上っていることが分かる。特に、山梨県が定数の6割超が無投票という割合の高さが目立っている。

 全国平均でも県議選挙区の37%すなわち3分の1以上の選挙区で、市民が投票することなく議員が決まってしまっている。定員数を見ても、全国平均で4分の1が無投票で決定している。政令指定都市は無投票の割合が低い。


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