2024年4月26日(金)

勝負の分かれ目

2023年5月15日

 同時に外国人選手も、過去のつながりがある代理人などに頼るのではなく、土田SDと西野TDをトップとするフットボール本部が、多角的な観点から候補をリストアップして、交渉にあたる方針を押し出していた。

 その第一号が現在は期限付き移籍で名古屋グランパスに所属するデンマーク人のFWキャスパー・ユンカーで、5試合連続6得点など活躍を見せた。21年はコロナ禍の最中で、外国人の入国制限や隔離期間などがある難しい時期だったが、この年の夏に加入したデンマークリーグMVPのDFアレクサンダー・ショルツが、その後の浦和をディフェンスラインから力強く支える存在になっていった。

 このリカルド監督の1年目は「3年計画」の2年目として、順調にチームの積み上げがされているように見えた。ボールの主導権を握る攻撃的なスタイルを押し進める中でも、クラブ新記録となる17試合連続無失点を記録。リーグ戦は6位に終わったが、天皇杯に優勝してACLの出場権を獲得。ポジティブな形で「3年計画」の3年目となる2022シーズンにつながったはずだった。

 しかし、思い通り右肩上がりに行かないのがプロサッカーの世界である。チームのスタイルが積み上がるというのは相手の対策が進むことと、ほぼイコールでもあるのだ。

さらなる歴史はどう作られていくのか

 スウェーデン代表MFダヴィド・モーベルグらを新戦力に迎えて、リーグ優勝を目標に掲げた22シーズンは開幕前に行われる富士フィルム・スーパーカップで王者の川崎フロンターレを2―0で破り、前評判がさらに高まった。しかし、複数の選手が新型コロナウイルスの感染に見舞われるなど、難しい状況で序盤戦に躓くと、なかなかリズムを取り戻せないまま前年を下回る10勝15分9敗の9位で幕を閉じ、ACLのファイナルに勝ち進んだ以外は無冠でシーズンを終えることになった。

 「3年計画」は土田SDや西野TDの思い描いたリーグ優勝という結果を導くことはできなかった。しかし、フットボール本部が「戦力の継続的な、さらなる充実」というテーマを掲げる中で、リカルド前監督からスコルジャ監督がチームを引き継ぎ、三度目のACL優勝という前人未到の偉業に結びつけた。

 そこには「浦和を背負う責任」を担ってきた多くの人たちの思いがつながっている。それでも大きな目標であるリーグ優勝に向けてはまだ道半ばだ。スコルジャ監督が率いる浦和レッズが今シーズン、どういった戦いを繰り広げていくのか。Jリーグ、次のACL、さらには年末のクラブワールドカップと楽しみは尽きない。

   
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