バイデンのパプアニューギニアと豪州訪問の中止は、ワシントンではかなりの波紋を呼んでいるようで、上記のWSJのみならず、その後ワシントンポスト紙(WP)も社説で同様に批判している(5月21日付「バイデンは太平洋訪問を中止。今やダメージ・コントロールが必要」)。WP社説は、共和党に批判を向けている。
バイデンは、できるだけ早期にパプアニューギニアを訪問すべきだろう。中国が太平洋の島嶼国に対する影響力を強める中、これらの国との関係を当然視すべきではない。9月のインドでの20カ国・地域(G20)首脳会議出席の際の訪問がひとつの可能性になるのではないか。
バイデンはパプアニューギニア訪問を
他方、米国はバイデンに代わりブリンケン国務長官をパプアニューギニアに派遣した。ブリンケンは5月22日、PIF会合に出席するとともに、パプアニューギニアとの防衛協力協定等に署名し、パラオとはコンパクトに署名した。
なお、ブリンケンはPIF会合での挨拶の中で、島嶼国に対する米国の種々の新たなイニシアチブに言及するとともに、今年の秋に米国で第2回米・太平洋島嶼国首脳会合を開催することとし、関係国の参加を招請した。もちろん米国での会議も良いが、やはりバイデンはとにかく太平洋島嶼国を直接訪問すべきではないか。米国の大統領は未だ誰もそうしていない。ワシントンでの会議は、米大統領の現地訪問に代えることはできない。機会を見つけて島嶼国を訪問すべきだろう。
パプアニューギニアとの協定は重要なものである。パラオとのコンパクトも同様だ。マーシャル諸島とのコンパクトも早く纏めるべきだ。5月22日、中国外務省報道官は米国とパプアニューギニアの防衛協力協定の署名を「いかなる協力も第三者を標的にしてはならない」と批判した。
日本も、米国や豪州などと協力して島嶼国との関係強化に努めてゆくべきだ。3月、林外相がソロモン諸島とクック諸島を訪問したことは良いことだった。先般のG7広島サミットにはマーク・ブラウン・クック諸島首相がPIF議長国として招待参加した。良いことだった。