2024年4月22日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年6月13日

 5月18日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)社説が、太平洋で中国と競争する中、バイデンのパプアニューギニアおよび豪州の訪問中止は、前進を見せている米国の島嶼国外交に暗雲を垂らすものだと批判している。

(Nabil Kamara/Kevin Dietsch / スタッフ/gettyimages)

 バイデンは日本での主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)の後に予定していたパプアニューギニアと豪州への訪問を中止したが、それは恥ずべきことだ。バイデンは、債務上限問題を代理に任せることができたが、訪問中止はバイデン政権が西・南太平洋における中国の挑戦に対応するために達成しつつあった前進を危うくするものだ。

 2022年に中国がソロモン諸島と安保協定を締結して以来、米国は、この地域での外交と戦略的関与を強化した。パプアニューギニアの首相マラぺは、同国はいずれにせよ米国との防衛協力と公海での不法活動海洋取締りに関する二つの協定の署名を行うと述べた。

 これらの合意は、太平洋での施設へのアクセスを拡大させ、米国にとって重要な前進となる。この合意により、米軍はパプアニューギニアの港湾施設を使用できるようになるとともに、空港での給油のための立ち寄りも可能になる。これは、豪州やフィリピンのような伝統的同盟国を除けば最近では初めての太平洋での新たな施設へのアクセスを可能とするものだ。

 バイデン政権はミクロネシアとパラオとの自由連合盟約の改定がまとまったことを発表した。米国は最近太平洋諸島フォーラム(PIF)への特使を任命し、島嶼国の地域機構との関与を拡大しようとしていた。

 これらによって、西太平洋の第二列島線の内外の水域での米国のプレゼンスを強化できる。第一列島線は、日本から台湾を含み、北フィリピン、ボルネオまでで、第二列島線は、東に伸び、北マリアナ諸島、グアムの米軍基地、パラオ、そしてパプアニューギニアまで続く。

 中国は、偵察船をパプアニューギニアや豪州周辺水域にまで航行させている。新たな米国の前線施設は、米国の海洋監視能力と相俟って、米国やパートナー国をして中国の海軍船団が何をしているかにつき一層監視することを可能にする。バイデンは、早期に当該地域への訪問を再調整することが賢明であろう。

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 バイデンは、G7広島サミットの後、パプアニューギニアに向かい、PIF首脳会議に参席するとともにパプアニューギニアとの間で防衛協力協定と海洋監視協力協定に署名し、パラオと米国の安全保障の協定である「自由連合協定(コンパクト)」に署名する予定であった。更にその後、豪州を訪問し、日米豪印の枠組み「Quad(クアッド)」首脳会議に出席する予定であった。

 しかし、本国での債務上限問題に係る議会での共和党との交渉が難航しているため、G7以後の訪問予定を中止し、帰国することとした。


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