世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月15日

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 これらの新しい動きを適切に管理する協定を得ることが重要である。マニラは、防衛協定に関して気まぐれな歴史を持っており、米軍の部隊を受け入れる一時的な協定は、内政上の圧力を受けて、将来の大統領によって、突然キャンセルされる危険がある。アロヨ前大統領は、イラク戦争で、平和維持部隊の出動にコミットしていたが、2004年に運転手が人質に取られると、それを撤退させた、という例もある。

 米国が相互の安全保障に投資でき、同時に、公衆にとって受け入れ可能なようにするためには、協定の最終的文言は、十分な安定性を提供するものである必要がある。声の大きな少数派は、状況に関係なく、米国や日本のプレゼンスに常に反対するであろう。しかし、フィリピン人の多数が、1992年に米国の基地が残ることを望んだように、同盟国とのパートナーシップの利益を理解している。ベニグノ・アキノ大統領が最近言った通り、フィリピンの戦略的パートナーは2国しかなく、それは米国と日本である、と述べています。

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 戦略的パートナーは米日2国だけである、というアキノ大統領の言葉は、斬新です。戦後長く、こういう言葉を聞くことはありませんでした。

 将来、米第七艦隊による、南シナ海、マラッカ海峡を通るオイルラインのパトロールに日本が参加して実績を上げるようなことになれば、米艦隊がスービックに寄港する際には、日本の海上自衛隊の船舶も寄港することになるでしょう。特別の協定がなくても、日本はフィリピンの安全保障に貢献出来ます。自衛艦隊の随伴寄港が習慣となれば、アキノ大統領が述べたような対日観は、南シナ海、インド洋周辺地域の国々の共通の感じ方になる可能性もあります。

 米比の新たな協力関係の成立と、日本の海上パトロール参加は、南シナ海のバランスに新たな展望を与えることになるでしょう。日本の海上パトロール参加は、その発端の動機は、日本にとって死活的なオイルラインの防衛のためですが、同時に、中国の軍事的勃興に対して、新たな軍事バランスを形成することにも貢献し得ることです。

[特集] 南シナ海めぐる中国の外交戦争

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