2024年5月19日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年7月11日

Oleksii Liskonih/Gettyimages

 米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙の6月20日付の社説‘China’s New Military Footprint in Cuba’が、中国がキューバとの間で交渉している同国における軍事訓練基地を設置する計画につき、バイデン政権は軍事的抑止力を高めることによりこれを外交的に阻止すべし、と論じている。要旨は次の通り。

 中国が建設を計画しているキューバの北海岸の軍事施設では、軍隊と諜報機関を駐留させることができる。中国は、キューバで諜報活動も計画している。つまり中国がフロリダから100マイルも離れていない米国の裏庭に高度なスパイ組織を立ち上げようとしている。近くのキーウェストには、機密性の高い米国軍事施設や訓練施設がある。

 中国共産党は、キューバにスパイ拠点を設置することは、米国が台湾を支援することと何ら変わりがないという虚偽の説明をしている。残念なことに、このような偽の道徳的同等性は、今や米国の右派と左派に通用している。

 ブリンケン国務長官は6月20日、キューバでの中国の軍事活動について「深い懸念を抱く」と述べ、北京訪問でこのメッセージを明確にしたという。バイデン政権は、ブリンケンの訪問を成功だと宣言したが、得られた成果は、時々話し合いを続けようという約束に過ぎない。中国は、誤解による衝突を避けるための軍同士の基本的な意思疎通を維持しようとする米国の提案を拒絶した。

 バイデン政権は、ブリンケンの訪問を基に、習近平と今年中に会談することを熱望している。しかし、中国の悪行にもかかわらず会談を追求するのは、弱腰に見える。バイデンは、気候変動問題への取り組みを中止し、今後6カ月間、米国の通常軍事的抑止力を強化することに専念すれば、外交力が強化されるだろう。従来の軍事的抑止力を強化することに集中することである。

 バイデンの債務上限合意は、中国、ロシア、イランに対抗するために米軍が必要とする真の予算増を妨げる。バイデンは、艦船、航空機、軍需品のための追加資金を議会に要求することができる。また、バージニア級潜水艦の増強や、台湾への武器供与の滞りを解消することを国家的優先事項とすることもできる。

 バイデン政権は、フィリピンでの新たな基地配置や豪州とのAUKUS級潜水艦の契約など、太平洋における米国の立場を強化してきた。しかし、北京は依然として台湾沖やフロリダ沖での挑発的な行動をやめていない。

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 WSJ紙は、6月20日付の解説記事で、現職および元政府高官を情報源として、キューバ北岸に中国との共同軍事訓練基地を設置する方向で交渉が行われており、米国政府は警戒を強めていると報じた。また、6月8日には、キューバで中国が新たな盗聴サイトを設置することで合意しスパイ活動を強化しようとしているとの報道も行われている。


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