2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年7月18日

 2023年6月30日付の英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)で、同紙編集委員長のギリアン・テットが、投資家は歴史の振り子がバイデノミクスに振れていることを認識すべきだ、レーガノミクスの否認は金融界を神経質にするだろうが、それを無視することはできないと述べている。

サウスカロライナ州で経済政策の成果をアピールするバイデン大統領(写真:ロイター/アフロ)

 40年前、レーガン政権は、自由市場、自由貿易へ政策を転換した。「レーガノミクス」と言われる政策は、政府が市場・交易を主導するという戦後の家父長的な政策に相対するものと定義された。

 6月28日、バイデンは、レーガンのトリクルダウン政策は中間層を益することに失敗したとして、それからの決別を表明し、それを初めて「バイデノミクス」と呼んだ。バイデンは、産業政策と市場監視を通じて、「トップダウンだけの経済成長に代わって中間層を引っ張り出し、ボトムアップの経済成長を生み出す」ために「米国におけるスマートな投資」を推進すると述べた。

 バイデノミクスを推進してきたエコノミストたちは、従来の民主党政権下で主流を占めて来た者とは違う専門家勢力(「部族」)だ。従来の民主党主流エコノミストたちを「ルービン勢力」(ルービンは元財務長官)と考えているが、彼らは米国金融界と深い関係を持っていた。バイデン勢力にはそのような近親さはない。

 バイデンの演説には五つの重要な点がある。第一に、これは長期にわたる構造的リセットを目指すものだ。バイデンの顧問の一人であるヘザー・ブッシーは「これは今多くの雇用を作ろうとするよりも、むしろ将来に向けてその道筋を作ろうとするものだ」と述べた。第二に、レーガノミクスの否認は、グリーン革命への補助金、インフラ投資、企業の独占力の削減、労働者再訓練、「米国第一主義」の貿易政策などとつながる。第三に、バイデノミクスは西側の時代精神の変化の表れである。多くの考えは、ここ10年の環境・社会政策運動の中で出てきた。第四に、バイデノミクスは世界に広がり、英労働党はこれを研究中である。第五に、バイデノミクスは予期せぬ経済成果をもたらしており、今後増える可能性もある。過去2年の製造業投資はほぼ2倍になった。

 ただ、民主党が来年の選挙に勝っても、債券市場はバイデンの政策の全貌を見て逃避するかもしれない。再産業化政策や保護主義がインフレになる懸念もある。

 しかし振り子は早くは戻らない。「バイデノミクス」はしばらく「時代の精神」となり、バイデンの政治生命よりも長生きするのではないか。それを無視する投資家は、自己責任でやることが必要だ。

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 このFTの記事は、6月28日のバイデノミクスに関するバイデン演説について、バイデンの振り子が続く保証はないが、それはしばらく時代の精神となり、バイデンの政治生命よりも長生きするのではないかと述べる。大変興味深い記事である。


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