「合わせようとする」から方針が決まらない
信念を持って初芝産業(現:テコット)を買収しようとする中国企業のリーダーに、振り回されるテコット社の取締役たち。これだと株主がこう言う……株価の対策のためには……日本の技術を守るために……さまざまな意見や世論に振り回され、「合わせようとする」から方針が決まらない。
結果、強い信念を持ち、合理性であらゆる手を尽くして買収しようとする中国のリーダーに太刀打ちできない、という様子が描かれている。失われた30年における、日本の弱体化の根本原因(=ブルーに意識重心のあるビジネスマンばかりで、強い信念を持ったリーダーがいない)が詳述されており、とても参考になるシーンである。
だからこそ今後は、自分の信念を強く持ち突き進んでいく、オレンジ型のリーダーこそが求められているのだ。その詳細については、本連載にて後述する。
なお、これらの意識段階については、決してビジネス領域だけでなく、あらゆる分野、とりわけコンテンツ産業においてもその特徴を見ることができる。ブルー型が活躍した年代においては、世の趨勢として「ルールを守り落ち着いていること」が善しとされていたため、「そうした平和を脅かす敵(異分子)を、打ち破り平和を守るヒーロー」が喜ばれ、活躍するという傾向にあった。
具体的にいえば、『ウルトラマン』(円谷プロ)や『セーラームーン』(武内直子、講談社)などがまさにそれだ。異邦人から地球を守ることや「月に代わっておしおきよ」というセリフなどが典型的である。
戦いに勝って出世するという、『あしたのジョー』(高森朝雄、ちばてつや 、講談社)などに見られるレッド型のリーダーからの変遷が、とても分かりやすいのではないだろうか。
ここからさらに2000年代に入ると、『ワンピース』(尾田栄一郎、集英社)の主人公であるルフィのような、個人の権利を主張し、夢に向かって自由に突き進んでいくという、オレンジ型のリーダーが歓迎されることになるのだ。