2023年2月2日(木)

MANGAの道は世界に通ず

2023年1月21日

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保手濱彰人 (ほてはま・あきひと)

キャラアート代表取締役会長。1984年生まれ。東京大学工学部中退。在学中に起業するなどして2014年に株式会社ダブルエル(現・キャラアート)を創業。現在は日本のポップカルチャー・コンテンツの国際展開を図ることに注力している。

『SPY×FAMILY』(遠藤達哉、集英社)

 日本人のイマジネーション、お家芸ともいえるデフォルメ力が存分に発揮されているのが『SPY×FAMILY』(遠藤達哉、集英社)だ。2019年3月より「ジャンプ+」で配信が開始されスマッシュヒット。さらには2022年4月からアニメ版が放映され、ブームといえるレベルに高まってきている。

 主人公である超能力少女「アーニャ」の可愛さに魅了され、コスプレする人も後を絶たない状況だが、実は本作では、日本人ならではのヒット作を生み出す仕組みが存分に活かされているのだ。

 本作の舞台は、東西冷戦下のドイツをモチーフにしている。「スパイの父親」「殺し屋の母親」「読心術を持つ娘」で偽装家族を作る設定から始まり、面白くならないわけがない。「設定の時点で勝ちが確定」と、ポジティブに評価されている作品だ。

 しかし、本作の妙味はそこではない。鉄のカーテン、スパイに殺し屋、という非常に血生臭く思われる題材を、「デフォルメして、誰にでも優しく見やすく包み込んでいる」ことがポイントなのだ。これこそ、世界に類を見ない日本的クリエイティブの真骨頂である。

 実はこの方式は、特に近年、多くの作品で活かされてきた。直近でスマッシュヒットした『タコピーの原罪』(タイザン5、集英社)は、DV家庭やいじめ問題を可愛らしいマスコットキャラが演出した。大人気キャラクターの「ちいかわ」も、実は内容はエゲツないのに、キャラクターの魅力で中和して演出している。

 『魔法少女まどかマギカ』(MagicaQuartet、ハノカゲ、芳文社)は、主役級のキャラクターが酷い扱いをされるギャップ感から一気にブレイクした。その他、『メイドインアビス』(つくしあきひと、竹書房)等々、同様の仕組みで成り立っている作品は、挙げれば枚挙に暇がない。


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