2024年5月18日(土)

勝負の分かれ目

2023年7月28日

すでに4団体統一戦をマッチメイク

 レフェリーが試合を止めると立ち上がれないフルトンを尻目に井上はコーナーポストへ一気に駆け上がり、力強いガッツポーズとともに喜びを爆発させた。ほとんどフルトンの有効打を被弾していなかった30歳の日本人新王者は顔も綺麗なままで、スタミナ的にもまだもう1試合、12回フルラウンドを余裕で戦えそうな雰囲気すら醸し出していた。

 モンスターはどこまで強くなっていくのだろうか。両者のファイトマネーが総額10億円以上となり「史上最高の軽量級決戦」と称されたビッグマッチを制したことで井上の価値はさらに急騰。最も権威がある米老舗専門メディア「ザ・リング」が制定する全階級を通じた最強ランキング「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」では現在2位となっているが、最強王者のフルトンを難なく撃破したことで昨年6月に日本人として初の1位となって以来、2度目のトップに返り咲く可能性も高まってきた。

 次戦は今年12月、有明アリーナにも現地観戦に訪れていたWBAスーパー&IBF世界同級王者のマーロン・タパレス(フィリピン)との4団体統一戦が国内で組まれる可能性が高い。井上がプロモート契約を結ぶトップランク社の敏腕プロモーターであるボブ・アラム氏もタバレスとの4団体統一戦の実現を後押ししている。

 タバレスは今年4月8日に米国テキサス州サンアントニオで行われた選手権試合で、それまで無敗だった前2団体王者のムロジョン・アフマダリエフを2-1のスプリットデシジョンで下し、新王者に輝いたばかりだ。

 ちなみに今春の時点でWBAスーパーバンタム級1位となり、同級王座への挑戦権を得ていた、あの亀田和毅もタバレスへの王座挑戦をアピールしていたが、その声は届いてはいないようだ。

 タバレス本人は2団体新王者になった井上からリングインを促され、東京・有明アリーナのリング上で4団体統一戦での直接対決を受諾。プロモーターであるショーン・ギボンズ氏もすでに戦前からフルトン対井上の勝者とタバレスの4団体統一戦をマッチメイクさせたい意向を明らかにしていたことから両者の思惑も合致しており、すんなりと実現することになるだろう。 

 とはいえ、今の井上ならタバレスを難なく撃破するとみる。前出のアラム氏が「問題はその後」とも口にしているように、井上が4団体統一戦をクリアした次々戦以降の相手は見えづらいところだ。


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