2024年12月3日(火)

勝負の分かれ目

2022年6月13日

 日本の誇るモンスターが、とんでもない快挙を成し遂げた。プロボクシングのWBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者の井上尚弥が現地時間の6月10日に米老舗ボクシング専門誌「ザ・リング」の「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で1位に選出された。

日本人で初めて「ザ・リング」のPFP1位に選出された井上尚弥(AP/アフロ)

 世界のボクシング界で「バイブル(聖書)」と称され最も権威のある同誌が毎月更新し、階級を問わず世界最強ボクサーを決めるランキング「PFP」で日本人ボクサーが1位に選ばれたのは史上初の偉業。他の米主要メディアでもそれぞれ「PFP」は発表されているものの、歴史の古い「ザ・リング」誌の同ランキングは別格で世界のボクシング界では最も注目度が高い。井上はこれまで同ランキングで2位が最高順位だったが、ついに日本人が誰も手にすることができなかった「世界最強」の称号を得たことになる。

ドネアとの再戦で圧巻KO

 ボクシング取材歴の長い著名な記者や編集者から選出された選考委員9人の投票によって決まる同誌のPFPランキングで今回はダグラス・フィッシャー編集長自身も「井上を1位に投票した」ことをメディアに公言している。フィッシャー編集長と言えば、米スポーツ専門局「ESPN」などボクシング討論番組でも鋭い指摘で視聴者をうならせる論客としても広く知られており、常に厳格でシビアな視点を持つ有識者から井上が1位選出された意味合いは大きい。井上本人も自身のツイッターを更新し「日本人がこれまで誰も辿り着けなかった場所まで来た #pfp1」と書き込み、あらためて偉業達成に身を引き締めた様子だ。

 同誌選出の前回PFPランキングで1位はWBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級王者のオレクサンドル・ウシク、2位はスーパーライト級で史上3人目の主要4団体統一を果たした現WBO世界ウエルター級王者のテレンス・クロフォード(米国)となり、井上は3位だった。同誌の最新PFPランキングでウシク、クロフォードの世界的スーパースター2人をも抜き去って井上が頂点に立ったのは言うまでもなく、6月7日にさいたまスーパーアリーナで行われたWBC同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)との3団体王座統一戦で2回TKOと圧勝したことが大きく評価されたからだ。


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