ポストシーズン、可能性がある限り諦めない
「10勝&40本塁打」も史上初の快挙だ。投打同時に出場したジャイアンツ戦後のメディア対応で、その感想を求められた大谷は「特に勝ち星は自分も打席に立ちますけれど援護がないとつかないところではあるので、自分1人の力ではないですし、そういう意味では今日の勝ちも大きいと思います」とフォア・ザ・チームを強調しながらコメント。
そしてポストシーズン進出の可能性について問われると「どうですかね」と前置きしながらも「すごく高いというわけではないと思いますけど、可能性がある限り諦めるということはないです」と言い切り、前を見据えた。
疲労蓄積、コンディション不良にさいなまれながらも米メディアや有識者らから「人間ではない」などと驚かれる程にまで自らの身体にムチを打ち、投打でフル回転し続けているのは「エンゼルスでポストシーズン出場」の夢をつかもうと遮二無二なっているからに他ならない。
9日現在でエンゼルスは2連勝で勝率を5割にまで戻したもののア・リーグ西地区では4位のまま、首位のテキサス・レンジャーズに10・5ゲーム差、2位のヒューストン・アストロズに8・5ゲーム差とそれぞれ大きく引き離され、3位のシアトル・マリナーズにも1・5ゲーム差とされている。ワイルドカード争いでも圏内3位のトロント・ブルージェイズに7ゲーム差だ。
大谷が口にした通り「すごく高いというわけでない」数字だが、残り46試合で奇跡を引き起こせる可能性はゼロではない。今後の試合は各地区の上位チームとのカードばかりが組まれており、厳しい戦いが予想されるが、裏を返せば直接対決で勝ち星を積み重ねることによってディビジョン(地区)ならびにワイルドカード争いで上位進出も現実的に見えてくる。
ワイルドカードでのポストシーズン進出は「90勝」がボーダーラインとしてみられている。それを踏まえればエンゼルスは残り試合を勝率7割前後の驚異的なハイペースで進んでいかないと到達しない。しかしながらエンゼルスの面々と同じく、大谷は自らが言い切ったように「諦めるということはない」はずだ。
8月1日のトレードデッドラインが過ぎ、少なくとも今季いっぱいまでのエンゼルス残留が決定。今オフにFAとなる大谷にとってMLBルーキーイヤーから6年間、ツー・ウェイ・プレーヤーとして属するエンゼルスでプレーするのは今季が最後になるかもしれない。たとえエンゼルスの一員としてプレーオフの舞台に立つ〝ラストチャンス〟になるとしても悔いのない戦いと結果を残すべく大谷は人間離れした活躍を見せ、我々を驚かせ続けているのだろう。