二刀流スーパースターの去就にまつわる論争が未だヒートアップし続けている。今季終了後にFAとなるロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手は果たして移籍するのか否か。今季中のトレード期限となっている7月末のデッドライン直前にエンゼルスが大谷の残留交渉を諦め、大型トレードでの他球団放出に踏み切るのではないかと勘ぐる向きも一部から出ている。
いまだなくならない〝真夏の電撃トレード〟説
米スポーツ専門局「ESPN」で敏腕記者として知られるジェフ・パッサン氏は5月29日(現地時間)に出演した同局の番組内で、今季中の大谷のトレード説を否定する見解を述べたものの、これはあくまでも同氏の個人的な意見であって断言はできない。実際に同じ「ESPN」でも同局制作のトークショー「パードン・ジ・インタラプション」の中で番組ホストを務める人気司会者のトニー・コーンハイザー氏と同局アナリストのマイケル・ウィルボン氏の有識者2人はパッサン氏と真逆の共通見解を示しており、エンゼルスが今季中のデッドラインとなっている7月末直前に大谷をトレードに出す可能性を疑っている。
コーンハイザー氏は同トークショーの中で「まだ(今年7月末の)トレード期限が迫っていて、エンゼルスが『オオタニがフリーエージェントになって何も得られなくなるから、彼をトレードする』と言い出す可能性もある」とコメントしていることからも、米国ではFA間近の大谷を巡る〝真夏の電撃トレード〟の話題が相変わらず尽きない。
ア・リーグ東地区3位のエンゼルスは5月30日現在で29勝27敗の貯金2。勝率5割以上をキープしているものの、同地区首位を快走するテキサス・レンジャーズには7ゲームも引き離されている。2位のヒューストン・アストロズとは4ゲーム差、4位のシアトル・マリナーズとのゲーム差は僅か0・5にまで迫られており、56試合を消化した時点とはいえ群雄割拠の今季ペナントレースでは好位置につけているとは言い難い。
大谷は2021年9月にV争いから脱落し、ワイルドカードも狙えないエンゼルスをチクリと刺すかのように「もっと楽しいというか、ヒリヒリするような9月を過ごしたい」と発言し、ポストシーズン進出への熱き思いを訴えている。こうした経緯から大谷残留のキーポイントは今季エンゼルスのポストシーズン進出こそが〝絶対条件〟になるとみられている。現状のチーム成績では、余程の楽天家か熱狂的なヘイロウズファンでもない限り、「安泰」と言い切れないのは残念ながら一目瞭然だろう。