土壇場で踏みとどまった。オークランド・アスレチックスの藤浪晋太郎投手が15日(日本時間16日)の本拠地ニューヨーク・メッツ戦で今季3度目の先発マウンドに立ち、7回途中までを4安打3失点3四死球5奪三振と好投。チームは2―3で敗れ、自身も今季3連敗となった。だが、これまでの不甲斐ない投球とは異なり、メジャー移籍後初のクオリティスタート(6回以上を自責3失点以内)を記録するなど今後の登板に期待を抱かせる内容だった。
悪癖を絶った投球内容
初回二死から3番のフランシスコ・リンドアに内角低めのフォーシームをとらえられ、右翼への二塁打を浴びた。しかし続いて迎えた4番のピート・アロンソにはこの日最速となる98.1マイル(約157キロ)の初球フォーシームをファウルさせ、2球目もえぐるようなインハイのスライダーで追い込むと、最後は91.4マイル(約147キロ)のスプリットで空振り三振。すべて強気の内角攻めの姿勢を崩さず、昨季ナ・リーグ打点王で今年3月開催の第5回ワールド・ベースボール・クラシックWBCにおいても米国代表に名を連ねていた強打者アロンソを三球三振に斬って落とした。
2点の援護をもらった4回一死、そのアロンソに高めに浮いた2球目のスライダーを右翼二階席へ叩き込まれ、ソロ本塁打を被弾。やり返される格好となったが、マウンドの藤浪は動じることなく冷静沈着な投球を続けた。
メジャーリーグ(MLB)で先発登板した過去2戦を振り返ると、打者2巡目に入って制球が乱れ始め〝自滅〟していく悪循環を繰り返していた。しかしながら、この日はそんな悪癖も顔をのぞかせることなく荒れ球を制御し、メッツの強力打線を相手に6回まで最少失点でしのぎつつリードを守り続けた。
7回先頭の6番マーク・キャンハに2ボール1ストライクからの4球目、93.6マイル(約150キロ)のフォーシームを左翼越えで運ばれ、同点ソロを被弾。次の7番ダニエル・ボーゲルバックにはフルカウントまで追い込みながらもウイニングショットで投じたスプリットを見極められ、四球で出塁を許し、ここで交代となった。バトンを託された2番手のトレバー・メイが勝ち越し適時打を浴び、藤浪には3失点目が計上されたものの先発投手としての役割は果たせた形と言い切れるだろう。