吉と出るか凶と出るか――。ロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平投手の今季残留が決まった。
エンゼルスが今年のポストシーズン進出を諦めてトレード市場で〝売り手〟に回り、今オフにFAを控えている大谷を思い切って放出。その見返りとして相手球団から複数のトッププロスペクトを交換要員で獲得するのではないかと予想する向きも多くあったが、8月1日(現地時間)のトレードデッドラインを目前にして「大谷トレード説」には終止符が打たれた。
諦めなかったポストシーズン
7月25日に行われた敵地タイガース戦開始前のメディア対応でペリー・ミナシアンGMは大谷の今季残留を明言。「われわれはもともとオオタニをトレードに出すつもりなどなかった」とも述べ、それまでウワサされていたFA前の放出は最初から議論の対象になっていなかったことを強調している。
ただ、これが本心かどうかは疑わしい。米老舗メディア「スポーツ・イラストレーテッド」でも報じられたように、エンゼルス側はデッドラインが迫る数日前、微妙な立ち位置にいるチームが「売り手」もしくは「買い手」のどちらに回るかで緊急会議を開いたミナシアンGMら幹部たちが膝を突き合せた結果、最終的にポストシーズン進出を諦めず今季いっぱいまで契約の残る大谷を保有し続ける決断を下したとみられているからだ。他の米主要メディアの報道でも、その場で幹部たちは巨額の資金を準備し、来季以降もビッグディールで引き続き大谷をチームに残留させる方針を再確認したとされている。
これを受け、大谷は「今までこのエンゼルスで普通に最後までプレーするつもりでやってきましたし、周りのそういう声も含めて気持ちもスッキリ臨めたので、これからプレーオフを目指して頑張りたいなと思う」などとコメント。球団とともに自らも相思相愛であるかのような言葉を口にしたが、FAとなる今季終了後の去就については以前から大谷本人が「秘密です」と煙に巻いている通り、未だ不透明であることに何ら変わりはない。