実際に複数の米メディアや有名アナリストたちは、大谷のトレードを見送ったエンゼルスの判断を「未来を放棄したノービジョン」と批判している。
大谷FAにまつわる課題は山積
エンゼルスは今年6月末にコロラド・ロッキーズからマイク・ムスタカス内野手、メッツからエドゥアルド・エスコバー内野手をトレードで獲得。7月末にはシカゴ・ホワイトソックスからルーカス・ジオリト投手とレイナルド・ロペス投手、ロッキーズからCJ・クロン内野手とランドル・グリチャック外野手、再びメッツからドミニク・レオン投手を駆け込みトレードで緊急補強した。
彼らの交換相手となった大半のメンバーはエンゼルスでは数少ない若手有望株たちだ。たたでさえ少ない若手有望株を放出してまで獲得した7選手はしかも今オフ、大谷と同様にFAを迎える。
空洞化がさらに顕著になったファームシステムの再構築と、そして形振り構わぬシーズン途中の緊急補強で獲得したFA前の主力選手たちの去就問題をどのように解決していくのか。大谷がFAになればマネーゲームは避けられず、新契約は総額で7億から10億ドルに達するとまでささやかれているだけに編成面でラグジュアリー・タックス(贅沢税)に抵触しない方針を貫くエンゼルスにとってはクリアすべき難問がとにかく山積している。
いずれにしても今オフ、今世紀最大の二刀流スーパースター・大谷の去就問題は必ず再燃する。オーナーのアート・モレノ氏率いるエンゼルスは一体どのようにして他の難題ともに向き合っていくのか。
今年春に球団売却を取りやめたモレノオーナーは「ショウヘイだけは何が何でも手放したくない」と周囲に漏らしているとも伝えられており、歴史上初めてMLB球団を有するオーナーとして成功を収めたメキシコ系米国人実業家の手腕が注目される。
世のビジネスパーソンもエンゼルス、そして大谷の今後の成り行きにぜひ興味を向けてほしい。